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超初心者のためのミキシング講座/コンプレッサー編⑤【アタックのコントロール】

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どもども。

新年一発目の今回は「音のアタックをコントロールする」場合のコンプレッサーの使い方について解説してみようと思う。

音楽の世界でのアタック

まずは音楽の世界で言うところの「アタック」という言葉の意味から。
一般的に音楽の世界で「アタック」と言ったら「音の出だしの勢い」のことを指す。
まあ言葉だけではちょっと伝えにくいので、実際の波形・・・・をイメージした図で説明してみる。

例えば以下のような波形があったとする。

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仮に、波形中の最大音量地点を「A」とした場合、音の出だし、すなわちアタックとは、音のスタート地点から「A」までの部分のことを指す。

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この音の出だしの勢い(アタック)が強ければ強いほど音にパワーや勢いを感じ、弱ければ弱いほどやさしく緩やかな印象になる。
ミキシングでは、コンプレッサーなどのエフェクトを使い、各ソースのアタックを変化させることで各ソースや楽曲全体の印象やグルーブをコントロールしていく。

アタックの強弱を決定する要素

では、アタックの強弱はいったいどんな要素で決定されるのか?
2つある。
ひとつ目はアタック・タイム
音というものは必ず無音の状態から始まる。
仮にこの無音の状態を0とすると、10という大きさの音が鳴る場合、必ず0からある程度の時間をかけて10に到達する。
どれだけ早く10に到達しようが、厳密には数十~数千分の1の時間がかかっている。
前項の図で言えば、音の始まりから最大音量地点「A」に到達するまでの時間だ。

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この「音の始まりから最大音量地点「A」に到達するまでの時間」こそがアタック・タイム。
言ってみれば「音の立ち上がりにかかる時間」だ。

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このアタック・タイムが速ければ速いほどアタックは強くなり、遅ければ遅いほど弱くなる。

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具体的に何ms以下のアタック・タイムが速いか、何ms以上のアタック・タイムが遅いかという明確な基準があるわけではないのだが、一般的にはギター、ピアノ、パーカッションなどの音のように弾いた瞬間に「ジャーン!」っと勢いよく最大音量地点に到達するのがアタック・タイムの速い楽器、シンセパッドのように「フワー」っと緩やかに最大音量地点に到達するのがアタック・タイムの遅い楽器と言われている。
ちなみに、コンプレッサーなどのエフェクトに搭載されているAttackというパラメータはこのアタック・タイムをコントロールするパラメータ。
あれらはエフェクトの効果がOFF(0)から設定した値に到達するまでの時間をコントロールするパラメータだ。

2つ目は、最大音量地点「A」の大きさ
以下の2つのサンプルを比べてみてほしい。

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単純に後者の方が最大音量地点「A」の音量がデカいわけだが、注目すべきはアタック・タイム中の波形の傾斜角度。
両者のアタック・タイムは全く一緒。
しかし、後者の方がアタック・タイム中の波形の傾斜角度がキツくなっているのがわかる。

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傾斜角度がキツくなるということは音の立ち上がりが急になるということ。
つまり、同じアタック・タイムでも最大音量地点「A」が大きいほうがアタックを強く感じるわけだ。

このように、アタックは「アタック・タイム」と「最大音量地点「A」の大きさ」によってその強弱が決まる。

アタックの強弱は相対的なもの

で、このアタックというものを理解するうえでひとつ覚えておきたいことがある。
それは、

アタックの強弱は相対的に決まる

ということだ。
アタックの強弱は「比較対象」の存在によってはじめて決まる。
例えば、以下のような波形のソースがあったとする。

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このソースを「サンプル1号」と命名する。

さて問題。

このサンプル1号はアタックが強いか?弱いか?

どうだろう?

正解は・・・・・・・・・・・・「何とも言えない」だ。

アタック・タイムも最大音量地点「A」のレベルも確定しているが、これだけではアタックが強いのか弱いのかは何とも言えない。
強いのか弱いのかは比較対象があってはじめて決まる。

例えば以下のようなサンプル2号が比較対象だった場合。

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サンプル1号のアタックは「2号と比べると強い」と言える。
同様に、以下のようなサンプル3号が比較対象だった場合。

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サンプル1号のアタックは「3号と比べると弱い」と言える。
同様に、以下のような南極1号が比較対象だった場合。

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「何となく若い時の母親に似ている気がする」と言える。

・・・このように、比較対象となるソースのアタック・タイム、もしくは最大音量地点「A」があってはじめてサンプル1号のアタックの強弱が決まる。

で、実はサンプル1号自身にも比較対象となる部分が存在する
それはアタック以降の部分

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最大音量である「A」とアタック以降の音量を比較するわけだ。
このアタック以降の音量が最大音量地点「A」の音量よりも小さい場合、相対的に「A」を大きく感じるということだ。

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当然、「A」とアタック以降の音量差が大きいほうが、より「A」を大きく感じる。

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さらに、サンプル1号の波形を何らかの方法で加工し、「アタック・タイム」や「最大音量地点「A」の大きさ」が変化した時も、加工前のサンプル1号自身が比較対象となる。

こんな感じで、とにかくアタックの強弱を語るには比較対象が必要になるということを覚えておきたい。

最大音量は体感できてナンボ

前説が長くなってしまって申し訳ないが、最後に注意点をひとつだけ。

最大音量地点「A」は体感出来てナンボ

ということを覚えておきたい。
例えば下図のように最大音量地点「A」を記録する時間がほんの一瞬の場合、実際のところ人間の耳は「A」の音量を十分に体感できない可能性が高い。

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いくら最大音量地点「A」の大きさが大きかったとしても、人間の耳がその大きさを体感できなければ「A」の大きさは伝わらない。
じゃ、どうしたら「A」の大きさを体感しやすくなるのか?
答えは「時間」。
最大音量地点「A」を維持する時間を長くしてやればいい。

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もしくは「A」に近い大きさの音を増やしてやる。

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人間の耳は「A」(もしくは「A」付近)の音量を維持する時間が長ければ長いほど、「A」を体感しやすくなる。

また、「A」を構成する音の周波数成分にも気をつけたい。
いくら音量が大きくても、それが人間の耳には聴こえにくい超低域だったとしたら「A」の大きさは伝わらない。
キックやベースなどの低音楽器の場合は、ピーク(最大音量地点「A」)が超低域で構成されている可能性があるので特に注意したい。