超初心者のためのミキシング講座 / リバーブ編⑨【リバーブ成分のPanコントロール】

どもども。

今回はリバーブ成分のPanコントロールについてウンチクってみようと思う。

ポストパン

いきなりだが問題。

センド・リターンでリバーブを使う場合、原音トラックのPan設定は生成されるリバーブ成分に反映されるでしょうかされないでしょうか?

答えは・・・・

『DAWの設定による』

だ(オイ)
ほとんどのDAWではセンドでAUXチャンネルに信号を送るときに原音トラックのPan設定を反映させるか反映させないかを選択することができる。
これからリバーブ成分のPan設定についてウンチクっていくわけだが、まずは自分の使用しているDAWの設定が今現在どうなっているのかを調べておいてほしい。
ちなみに多くのDAWの場合、デフォルトでは原音トラックのPan設定はリバーブ成分に反映されないようになっている。
つまり、右に100%振った原音トラックにセンド・リターンでリバーブを掛けても、AUXチャンネルに生成されるリバーブ成分は中央に配置されるというわけだ。
すなわち、この設定で複数トラックの残響音を生成した場合、すべてのトラックの残響音が中央に集中することになる。

この状態が100%悪いというわけではないのだが、残響音の出どころが一箇所に集中するのでどうしてもゴチャついた印象になってしまう場合が多い。
そこで、ミキシングでは原音のPan設定がセンド信号にも反映される(ポストパンなんて言われる)ようにすることで、各トラックのリバーブ成分の重なりを解消してやったりする。

リバーブ成分のPan設定

では実践。
例えば以下のサンプル。
こいつの左右に100%振っているギターのリバーブ成分をポストパンで左右に散らしてみる。
やり方は非常に簡単。
AUXチャンネルに送っている各トラックのSEND信号をポストパンに切り替えてやるだけ。
切り替え方は・・・各々でググってみてほしい(オイ)

『○○○(DAWの名称) ポストパン』

と検索すればすぐに答えを見つけられるはず。
ちなみに筆者のメインDAWであるLogic Pro Xの場合、デフォルトでポストパンになっている。
・・・ので何もする必要はない。
逆に先程のサンプルのようにAUXチャンネルに原音トラックのPan設定を反映させない状態にしたい場合は以下の手順でイケる。

まずは原音トラックのSendボタンにカーソルをのせて・・・

ポップアップメニューにある『インディペンデントパン』にチェック。

するとミキサーウィンドウ左上に『フェーダーのセンド』の電源ボタンが現れるので、ポップアップメニューから該当するBusを選択。
※そんなもん現れねえぞ!ってひとはミキサーウィンドウの右端をドラックしてググッと幅を広げていくと現れるはず。

すると、原音トラックのSendボタンとレベルフェーダーが黄色くなる。

この状態でPanをセンターに合わせる(原音トラックのPan設定は変更されないのでご安心を)。

合わせたら『フェーダーのセンド』の電源ボタンをOFFに。

これでOK。
ちょっと聴き比べをしてみる。
【原音のPan設定をリバーブ成分に反映させない場合】
【原音のPan設定をリバーブ成分にも反映させた場合】
どうだろうか?
かなり印象が変わるのがわかると思う。
ちなみにリバーブ成分だけを聴いてみるとこんな感じ。
【原音のPan設定をリバーブ成分に反映させない場合】
【原音のPan設定をリバーブ成分にも反映させた場合】
DAWの設定を変えるだけという誰にでもできるテクニックなので是非とも試してみてほしい。
また、もちろん原音トラックのPan設定を反映させるわけではなく独自に残響音のPan設定をしてもいい。
その場合は一旦AUXチャンネルにセンターでSend信号を送って、AUXチャンネルのPanノブで残響音の聴こえる位置を調整してやればOK。

リバーブ成分のステレオコントロール

次に、リバーブ成分のステレオコントロールについてちょいとウンチクる。
前項のように原音のPan設定をリバーブ成分にも反映させるだけでもかなりスッキリした印象になるが、各リバーブ成分の横への広がり具合(ステレオ感)をコントロールしてやることで、さらに聴きやすい残響にすることもできる。
ちょいとやってみる。
例えば先ほどリバーブ成分を左右に振った以下のサンプル。
こいつのボーカルのリバーブ成分は現状右100%から左100%まで広がっている。

これをWavesのS1などで右50%から左50%くらいまで狭めてみる。

するとこんな感じになる。
違いがわかるだろうか?
・・・バラードとかだともっとわかりやすいのだが。
こんな感じで各トラックのリバーブ成分の左右への広がり具合をコントロールをしてやることでも、楽曲の聴きやすさを向上させることができる。
ちなみに今回はメインボーカルの幅を狭めたが、主役のリバーブ成分を狭めることに抵抗がある人は逆にドラムやベースを狭めてやってもいい。
いろいろと試してみて自分のしっくりくる組み合わせをみつけてみてほしい。

まとめ

今回はここまで。
最後に聴き比べ。

【原音のPan設定をリバーブ成分に反映させない場合】
【原音のPan設定をリバーブ成分にも反映させた場合】
【原音のPan設定をリバーブ成分にも反映させた後、各トラックのステレオコントロールをした場合】
前回のEQ処理も含め、リバーブ成分にひと手間加えてやるだけでもかなり楽曲の聴きやすさを向上させることができる。
リアルさを追求するのであればEQ処理もPanコントロールもステレオコントロールもするべきではないのだが、何度も言うように『リアル=最良のミックス』ではない。
原音側の処理が忙しくおろそかになりがちなリバーブ成分ではあるが、ひと手間加える価値は十分にあるので是非とも試してみてほしい。
ということでリバーブ編は今回で終了。

次回からは同じ空間系のエフェクトであるディレイについてウンチクっていけたらと思う。

ではでは。