どもども。
今回は、リバーブのパラメータをイジくって空間内でのリスナーと音源までの距離(音の前後)をコントロールしてみようと思う。
前回、空間のサイズをコントロールしたサンプルがこちら。
こいつの音の前後をコントロールしてみたいと思う。
リスナーと音源までの距離に関係するパラメータ
前回ちょこっと触れたとおり、空間内でのリスナーから音源までの距離(音の前後)に影響を及ぼす要素は『プリディレイ』と『原音と初期反射音の音量差』の2つ。
具体的には、
空間内での音源の位置を前に出したい場合
・プリディレイをより遅くする
空間内での音源の位置を奥に引っ込めたい場合
・プリディレイをより速くする
これでイケる。
プリディレイについてはリバーブに搭載されているパラメータをイジればOK。
直接音と初期反射音の音量差についてはリバーブに搭載されている初期反射音レベルパラメータ以外にも、
①原音トラックのボリュームフェーダー
②AUXチャンネルのボリュームフェーダー
③リバーブのメインアウトプット
④各トラックのSENDノブ
などでコントロールすることができる。
どれを使っても間違いではないが複数の箇所でコントロールすることはあまりオススメしない。
迷宮入りしやすい。
また、①は他の原音トラックとの音量の再調整が必要になるのでオススメしない。
個人的にオススメするのは④。
リバーブを何個でも立ち上げられる現在ではちょいと時代遅れな手法なのだが、前回までの手順をしっかりと踏んでいればかなり簡単に音の前後をコントロールすることができるので、手法の一つとして覚えておくといいと思う。
音源の位置を前に出す
では実際にやってみる。
前回までの手順を踏んでいる場合、初期状態で音源は空間の一番奥に配置された状態になっているはず。
今回はこの音源の位置を奥から手前に出してみる。
まずはプリディレイ。
前回作成したサンプルでは30m×30mの一番奥で音源が鳴っているように聴こえるようにプリディレイを36msに設定している。
こいつをリスナーまでの距離が10m程度になるようにプリディレイを変更してみる。
空間の大きさと音源までの距離別のプリディレイの値はおおよそ以下のとおり。
但し、これは空間に物体が何も無い場合の理論値なのであくまで参考程度ということで。
ここではプリディレイを64msに変更してみる。
するとこんな感じになる。
【変更前】
【変更後】
どうだろうか?
原音と初期反射音が離れたことで、原音の輪郭がハッキリしたのがわかると思う。
お次はSendノブ。
Send量を減らしていくとリバーブ音の音量が小さくなっていくので、原音と初期反射音の音量差が大きくなっていく。
己の耳を研ぎ澄ますてお好みの距離感になるまでSendノブを絞っていく。
ここでは0dBから-9dBまでSendノブを戻してみた。
するとこんな感じになる。
【変更前】
【変更後】
どうだろうか?
原音と初期反射音の音量差が大きくなり、音源が前に出てきたように聴こえると思う。
・・・ちなみに、お気付きかと思うがSendノブを戻していくと聴覚上の残響時間も短くなっていく。
「・・・オイ、おめえ前に音の前後と残響時間は関連性がないみてえなこと言ってたよな?」
と思った人。
・・・そんな目で僕を見ないでほしい。
確かに現実空間であれば音源の位置が前に移動しても初期反射音と残響音の音量は変わらない。
しかし、音源が前に移動することで音源の音が大きく聴こるようになる。
しかし、ミキシングでは原音トラックの音量は他のトラックとの音量バランスが変わってしまうのであまり動かしたくない。
そこで、初期反射音と残響音の音量を小さくすることで相対的に原音と初期反射音の音量差を大きくする。
原音の音量が変わらないという条件下では聴覚上の残響時間は短くなって然りということだ。
・・・ね?
だからそんな珍獣を見るような目で僕を見るのはもうやめにしてほしい。
まとめ
今回はここまで。
ポイントをまとめると、
①リスナーと音源までの距離(音の前後)を変えたい場合は、『プリディレイ』と『原音と初期反射音の音量差』を変えてやればいい。
より奥に引っ込めたい場合
・プリディレイをより早くする
・Send量を多くして原音と初期反射音の音量差を小さくする
より前に出したい場合
・プリディレイをより遅くする
・Send量を少なくして原音と初期反射音の音量差を大きくする
②原音と初期反射音の音量差を調整するのはSendノブがオススメ。
こんな感じ。
次回は、複数トラックの音の前後の位置を個別に変える方法を紹介してみようと思う。
ではでは。