モニタ向けヘッドホンをいろいろと試してみた。

どもども。

皆さまにとってはどうでもいい話ではあるのだが、私、昨年の11月に新居に引っ越しまして。
7度の引っ越しを共にしたYAMAHAMSP5SONYMDR-CD900STもかれこれ10年選手。
いい機会なのでモニタ環境を見直すことにした。
当初の予定としては、モニタースピーカーだけ買って900STはイヤーパッドの交換で済ませようと思っていたのだが・・・まるで中2の夏のような、いてもたってもいられないくらいの性欲・・・あ、物欲に襲われたのでヘッドホンも新調することに。
それにご存知の通り900STはホント低域が見えない
挙句、耳にぶっささるような中高域。
ミキシングがやりやすい一品とはお世辞にも言えないので、ミキシングがしやすいヘッドホンを探してみることにした。
ヘッドホンでミキシングすることについては賛否両論あると思うが、我が家はスピーカーでミキシングできるほどの爆音が出せるような環境ではない。
一般ピーポーのミキシングは結局のところヘッドホンが必需品。
ということで、早速近所の楽器屋に乗り込んでいろいろ試してみたので、今回はモニターヘッドホンのレビュー的なものを。

求める条件は「ミキシングしやすいこと」。
具体的に言えば、

・周波数特性のバランス(なるだけフラット)
・空間表現能力(定位感、周波数レンジ、ダイナミクスレンジ)
・情報量(解像度)

こんなもんだろか。
で、とりあえず以下の6機種まで絞り込んだ。

〇AKG K240mkⅡ
〇YAMAHA HPH-MT220
〇SHURE SRH940
〇audio-technica ATH-M70x
〇audio-technica ATH-R70x
〇PHONON SMB-02

新製品であるYAMAHAのHPH-MT8も視聴したかったのだが、あいにく未入荷&視聴不可とのこと。
店員さん曰く「MT220と特性はそんなに変わんねぇっすよ。フラットっすよ。」とのことだったが、視聴無しでの購入はさすがに怖いので今回は見送ることに。
各モデルの印象としては以下のとおり。

〇AKG K240mkⅡ

圧倒的に安価なド定番のセミオープン型モニタヘッドホン。
他のモデルと大差がなければこれでいいじゃんと思い候補に入れたが、さすがに2~3万クラスと比較してしまうと解像度や空間表現能力に差を感じる。
周波数特性は低域が弱めではあるが900STよりは見やすい。
セミオープンということもあり、900STよりもマイルドで自然なヌケのあるキャラクター。
耳も痛くない(笑)

〇YAMAHA HPH-MT220

良い。
君こそ「フラット」って感じ。
クセも味付けもメリハリも一切ない。
そして十分な情報量。
謳い文句通り。
確かに「フラット」で原音を忠実にモニタ出来るヘッドホンを探しているなら間違いなくこいつだ。
近すぎず遠すぎずの適度な距離感にすぅーっと伸びる広い音場。
そこで各帯域の音が淡々と鳴っている印象。
聴いていてもダントツでつまらなかったが、きっとこれこそが「リファレンス」にふさわしいんだろうなと思った。
[hph-mt220]

〇SHURE SRH940

ダイナミックマイクSM58で有名なSHUREのリファレンススタジオヘッドホン。
周波数特性は前述のHPH-MT220同様で「フラット」な印象。
情報量が多く非常に高い空間表現能力。
周波数レンジも非常に広く、低域は適度な量でボワつきがないし高域もキレイに伸びている。
HPH-MT220よりも距離感は近めで細かなチェックもしやすそう。
良い。
一方で、耐久性に難ありとの情報もちらほら。
結構ガッチリした外見なんだが・・・。

〇PHONON SMB-02

PHONONってブランドを知らなかったのだが、こいつがなかなか面白い。
一歩引いたところにしっかりと空間が構築される感覚。
情報量も多く、空間表現能力は高い。
店員さんが「スピーカーで聴いてるみたいっすよね?」と言っていたが・・・たしかにそんな感じかもしれない。
「擬似スピーカー」って言葉がしっくりくる感じだ。
また、周波数バランスについては低域が強めで密閉型特有のボワつきがある。
それでも他の帯域を邪魔することがないように絶妙なバランスに仕上がっているのだが、密閉型特有のボワついた低域が嫌いな人にとってはちょっと厳しいかと思う。
また、情報量も多くクリアな音ではあるが、全体的に音に「色」がある。
個人的には好きな部類の色だが、この辺は好みが分かれると思う。
それから難点がもう一つ。
イヤーパッドが小ぶりで耳に乗っかるタイプなんですわ。
店員さん曰く、イヤーパッドを交換して使っている人も多いとのこと。
[smb-02]

〇audio-technica ATH-M70x

海外で人気のMシリーズのフラッグシップモデル。
正直audio-technicaってあんまり好きではなかったのだが、気持ち悪いくらいの情報量に驚いた。
特に中高域。
空間表現能力も驚異的でゴチャゴチャしている部分が丸見えっす。
他のヘッドホンで聴こえなかった音が面白いくらい見つかる。
くっついてしまったり、隠れてしまっている音もこいつなら一つ一つしっかりと確認できるだろう。
おそらくこいつを付けていれば服の上からパンツも見えるんじゃないだろうか?
いや、パンツの中も見える。
しかし、見えすぎるあまり周波数特性バランスが悪いという印象を持ってしまう。
低域も見えないわけではないんだが、音が耳に近いタイプでどうしても中高域が耳に張り付いてくる。
そして高域が耳にぶっ刺さる。
このあたりは900STに似た傾向だと思う。
「低域もある程度見える超高解像度版900ST」といった感じだろうか?
とにかくこいつの中高域の解像度は驚異的だ。

〇audio-technica ATH-R70x

こちらはaudio-technica初のプロ用オープン型リファレンスモデル。
筆者の苦手な開放型。
しかも結構な金額。
どうも開放型は集中できない。
筆者は作業中に周囲の音が入ってくるだけで萎えるタイプ。
「これはないな~」っと思いながら聴いてみると・・・なんともリッチな低音。
空気感があってスピーカーの鳴りに近い。
おそらく40~50Hzあたりも全然鳴っている。
しかもそれでいて周波数特性バランスもいい。
低域は結構強めに出ている感覚なのだが、それに負けないよいに中高域が絶妙なバランスで鳴っている。
決してフラットではないんだがバランスがいい。
情報量はATH-M70xには及ばないが、密閉型に慣れている筆者にとっては非常に魅力的なヘッドホンだった。
前述のATH-M70xと名前は似ているが全くの別物。

・・・といった感じ。
900STに比べたらどれも低域は十分見えるのだが、正直どれも一長一短。
いや、HPH-MT220についてはモニタヘッドホンとしてはパーフェクト
SRH940についても耐久性の問題が無ければパーフェクトだと思う。
価格も共に2万前後。
無難にいくなら間違いなくこの2機種だろう。
ただ・・・なんというか・・・つまらない(オイ)
言ってみればこの2人、ルックスまあまあのCカップ。

全然イケる

全然イケるんだが、ルックス並のEカップ、ものすごい技を持ったちょいブス、パーフェクトボディのブスも捨てがたい

そんな感じなのだ。
しかもHPH-MT220に至っては生産終了品。
どうしても後継機種にあたるMT8がちらつく。
しかしMT8は視聴出来ない。

・・・出直すか?

いやいやいやいや、デ◯ヘル呼ぶ気満々で出張に行って誰も呼ばずに帰れるか?

無理だ

で・・・悩みに悩みレジに持って行ったのが・・・

audio-technica ATH-R70x・・・

audio-technica ATH-M70x。

・・・まさかの2個買い。

・・・絶対嫁に殺される。

まあ聞いてほしい。

まずATH-R70x。
何と言っても開放型が苦手な筆者をも虜にしてしまったこいつの空気感たっぷりの低域は強力
並のヘッドホンでは表現しきれない帯域まで鳴らしきる。
それでいて中高域もしっかり見れるという絶妙なバランス。
中広域もこれまた空気感たっぷりのリッチな音。
どう考えてもこいつは買いだ。
ただ、やはり空気感が多い分体感解像度に不安が残る。
ということで、そこは驚異的な情報量(解像度)を持つATH-M70xでカバーしようという魂胆。
別に900STでもよかったんだが・・・絶対耳が痛くなるんだが・・・見た目がダントツでかっこよかった。
こいつの解像度は必ず役どこかで役に立つ。

ということで、心の奥ではHPH-MT220、SRH940がベストと思いつつも、決して周波数特性がフラットではない高額なヘッドホンを二つも購入してしまった。

ああ・・・今月と来月は庭の砂を食って生き延びようと思う。

ではでは。