超初心者のためのミキシング講座/イコライザー編⑦【タムのEQポイント】

今回はタムのEQポイントをご紹介。
ハイ、ミッド、ロー(フロア)で、ある程度の統一感を持たせなければいけなかったりするので非常にめんどくさいピース。
キックとスネアがバシッ!っと決まっているのにオカズのタムであららら・・・・ってなことにならないように、上手に処理してやりたい。

タムの周波数帯域別成分

今回も例のごとくNIの「Studio Drummer」。
キットは「Session Kit – Full」。

付属のエフェクトは全てOFFで使用。
今回は、ハイ、ミッド、ロー(フロアタム)の3つのタムでフレーズを作ってみた。
実際に聴いてみる。

それぞれ周波数特性は変わってくるのでアナライザーでの考察は割愛させてもらうが、フロアタムはキック寄り、それ以外はスナッピー無しの深胴スネア寄りの周波数特性である。

帯域別のEQポイント

では、それぞれの帯域にどんな成分が含ませているのかを見ていく。
タムの場合、当然ピースによってポイントは前後するので、それぞれのポイントを探ってみてほしい。

20Hz~100Hz

重量感を担う帯域。
ハイパスでカットするのが一般的。
ハイ・ミッド・ローでカットし始める周波数に差をつけてやるといい。
ハイは結構ガッツリめにカットしても良いと思う。
ロータムについては削り過ぎず、キックとかぶり過ぎずという絶妙なポイントを探したい。

100Hz~500Hz

量感を感じる帯域。
ブーストしすぎると篭ったり、ベースやキックなどの低域パートとぶつかるので注意。
また、篭りを感じる帯域でもあるのでカットするとスッキリした印象になり、相対的に空気感が強調される。

500Hz~2kHz

ヘッドの揺れ、余韻、ハリを構成する成分が含まれる帯域。
タム特有の「バイ~ン」という成分をどのくらい使うかをコントロールできる。
1kHz付近になるとハリ(固さ)を感じる成分になってくる。

2kHz~4kHz

スティックでヘッドを叩く「バチッ!」っという音が含まれる帯域。

この辺りのバランスをどうとっていくかで音色を固めていくことになる。
最初にひとつのタムを処理して、その聴こえ方を基準として他のタムを処理するのがいいと思う。
筆者の場合は最初にロー、次にハイ、最後にミッドという順番EQ処理をする。

具体例

では、上記のポイントを使った例をいくつか見てみようと思う。
ちなみに紹介するEQ設定例はハイタムの写真。
その他のタムも、ポイントはポイントが若干前後したりブースト/カットする量が変わってはいるが、基本的には同じような処理をしている。

固さを出してバリッとしたのタムに

300Hz、800Hz付近をカットして適度に量感をカット。
2kHz付近にある固めのヘッド音と4kHzのアタックをブーストしてバリッとしたタムに。

胴鳴り、ヘッドの鳴りを強調してナチュラルさを強調

300Hzあたりの胴鳴りと1.5kHzあたりのヘッドの鳴りをブーストして「バイーン」という音を強調。
アタックが少し強めだったので4kHzあたりをカット。

タイトでヘビーなタム

500Hzあたりをガッツリカットして籠りを除去、ヘッドの揺れも多めにカットして全体的にタイトなイメージに。
アタックをブーストしてヘビーなイメージに。

まとめ

今回はここまで。
次回はいよいよドラムの総まとめ。
ドラムのオーバーヘッドマイクを含めてドラム全体のEQポイントを紹介したいと思う。

ではでは。

Chanomaオススメのミキシングアイテム

Universal Audio APOLLO TWIN

Universal Audioは1176や610などの名機と呼ばれるアウトボードを生み出しているアメリカの老舗プロフェッショナルオーディオ機器ブランド。 Apollo Twin は同社のハイクオリティDSPプラグイン「UAD-2」が利用できるDSPチップを搭載したコンパクトオーディオインターフェース。 「往年のアナログ機器のサウンドをプラグインで再現」というコンセプトのもとに開発されるUAD-2は、NEVE 1073、610、APIやSSL、1176、LA-2A、Pultec EQなど数々の名機をプラグイン化しており、その技術は世界中で非常に高い評価を得ている。 プロの定番プラグインであるWavesを始め、様々なブランドが名機のエミュレートプラグインをリリースしているが、ビンテージ機材のエミュレーション技術においては間違いなくUniversal Audioが群を抜いている。 最近ではMarshallやFender、Ampegのアンプシミュレーターなどもリリースしており、ギタリストやベーシストにもオススメ。 手にしたその日からワンランク上のレコーディング、ミキシング環境が手に入る。

Waves Plugin

プラグインエフェクトと言えば「Waves」。 多くのプロも使用しているハイクオリティエフェクト。 ありきたりな選択肢だが、やはり良いものは良い。 余計な音質の変化はないし、余計な味つけもされないし、エフェクトのかかり具合も良く、使い勝手も良く、狙った効果がきちんと得られる。 CPU負荷も比較的軽めなうえ、動作も安定しているので安心して使用できる点もGood。 一昔前に比べてかなり安く手に入るようになってきているので、コスパ面でもオススメ出来る。 Silver、Gold、Platinumをはじめ多数のバンドルがラインナップされており、目的やレベルに応じて様々な選択肢をチョイスできるのも嬉しい。

audio-technica ATH-M70x

海外で人気のMシリーズのフラッグシップモデル。 決して周波数特性がフラットという機種ではないが、こいつの中高域の情報量は驚異的。 空間表現能力も驚異的でゴチャゴチャしている部分が丸見え。 他のヘッドホンで聴こえなかった音が面白いくらい見つかる。 くっついてしまったり、隠れてしまっている音もこいつなら一つ一つしっかりと確認できる。 但し、中高域が耳に張り付いてくるタイプなので、低域のモニタリングは慣れが必要? 「低域もある程度見える超高解像度版900ST」といった感じ。

YAMAHA MSP5 STUDIO

銘機「NS10M STUDIO」を開発したチームによるニアフィールドモニター「MSP STUDIO」シリーズの一番小さいサイズ。 フラットさに定評があり、モニタスピーカーとして各方面での評価も高い。 音質も非常にクリアで音像や定位もしっかりと捉えることができる。 とにかく飾り気のない素直な出音が特徴。 コスパはかなり高い。