1.ASIO、Core Audioに対応しているか?
「ASIO」、「Core Audio」とはオーディオドライバの規格の名称。
例えばギターの音をパソコンに録音する場合、
①オーディオインターフェースからギターの音(アナログ)を入力
↓
②音をアナログからデジタルに変換
③音をデジタルからアナログに変換
↓
③オーディオインターフェースに接続したモニタスピーカーから音が出る
このような流れになるのだが、ここで問題になってくるのが②と③の変換処理。
この処理にはどうしても0.0◯秒の時間がかかる。
つまり、ギターの弦を弾いてから0.0◯後にオーディオインターフェースに接続したモニタスピーカーから音がされるという現象が起きてしまうわけだ。
このように、音が遅れて聴こえる現象を「レイテンシ(レイテンシ-)」と呼ぶ。
たかが0.0◯秒だが、音楽の0.0◯秒のズレは致命的だ。
違和感が凄くてリルタイムの録音なんて出来たもんじゃあない。
で、このレイテンシをほぼ0に近い値まで小さくしてくれるオーディオドライバが「ASIO」や「Core Audio」。
最近は、ほとんどのオーディオインターフェースが「ASIO」や「Core Audio」に対応しているが、リーズナブルなモデルの中には対応していないものもあったりするので注意が必要。
ちなみに、レイテンシーという現象はソフトサンプラーやソフトシンセ等の音源でも発生するので注意(デジタル→アナログ変換があるため)。
また、最近ではASIOに対応していないオーディオインターフェースやPC内蔵サウンドカードをASIO対応に出来る「ASIO4ALL」というソフト(ドライバ)もあったりする。
筆者は試したことはないが、いきなり万単位の金をかけてオーディオインターフェースを買うのはちょっと・・・という人はこういったものを試してみるのもありかもしれない。
2.形状
オーディオインターフェースの形状にはギター入力特化型、モバイル、卓上、ラック、ミキサータイプなど様々なものがある。
昔はラックタイプのものが一番音が良い印象があったが、今はコンパクトな卓上型やモバイルタイプでもかなり高音質なモデルが増えているので、これについては用途や見た目の好みで決めてもいいと思う。
・・・ある意味インテリアでもあるので(笑)。
下のオススメのオーディオインターフェースにも様々な形状のものを紹介しているので参考にしてみてほしい。
3.入出力数
オーディオインターフェースは、製品によって入力出来るチャンネル数、出力出来るチャンネル数が異なる。
家で1人でDTMをやるレベルなら2in2outで十分だが、入力チャンネル数は、同時録音出来る楽器の数とイコールとなるので、バンドの一発録りなどがしたい場合にはチャンネル数の多いモデルをチョイスする必要がある。
また、端子の形状にも注意が必要。
RCA
一昔前のコンポやテレビに付いていた赤白のアレ。
TRS(TS)
カラオケのマイクに付いてるアレ。ギターをアンプに繋ぐアレ。ヘッドホンに付いているでかめのアレ。
XLR
コンデンサマイクを繋ぐアレ。
ものによっては入力数が10個と記載されていても10個のうち4個はXLR、6個はTRSだったりするので注意。
ギターやコンデンサマイクを接続したい場合は、ハイインピーダンスに対応しているか、マイクプリやファンタム電源は付いているかについても確認する必要がある。
また、マイクプリについては入力数=マイクプリの数ではないので注意。
「16の入力に対応しているが、マイクプリが付いているのは2つだけ」
という場合も珍しくない。
というか、むしろそっちの方が多い。
また、XLR>TRS>RCAの順で「ノイズに強い」とか「音質が良い」と言われているが、DTMの場合配線の長さも非常に短いのでほとんど差は無いと思ってもらってかまわない。
どちらかと言えば気をつけなければいけないのはケーブルの質だ。
こちらはモノによって音質がかなり変化する。
あまりにも粗悪なケーブルを使用すると、ひどく音質が低下するので注意。
で、それなりのケーブルを用意しようとすると・・・ビックリするくらい金がかかるのできちんと予算組みしておいたほうがいい(笑)
4.音質
オーディオインターフェースの音質についてはぶっちゃけ好みの問題もある。
そもそも「良い音」というものに定義なんてない。
ということで一概にどれが良いとは言えないのだが、選ぶときは「入力音の質」と「出力音の質」の2つに分けて検討するといいと思う。
まずは入力音について。
ひとつの指標としてサンプリングレートとビットレートというものがある。
サンプリングレート
波形を標本化するときにどれだけ細かくスライスするか。
ビットレート
スライスしたデータ一つ一つの情報量。
わかりにくい?
簡単に言ってしまえば、液晶やデジカメの画素数みたいなもの。
この2つの数値が大きくなるほど、元の波形をリアルに録音出来るってことだ。
イメージしやすいように図を用意してみた。
以下のような波形を録音すとした場合、
サンプリングレートとは、この波形を録音(データ化)するとき縦にいくつにスライスするか。
そして、ビットレートとはスライスした一本のデータを横にいくつにスライスするか。
正確には、スライスした1本当たりの情報量。
つまり、この2つが大きくなればなるほど、原音に近い状態で録音出来るというわけだ。
縦の線がサンプリングレート、横の線がビットレートだとすると・・・。
それぞれの値が大きい(細かい)方がもとの波形に近い状態で録音できる。
現在普及しているオーディオインターフェースは、サンプリングレートが44.1〜192kHz、ビットレートが16〜24bitといったところ。
ビットレートについては24bitに対応していモデルを選べばまず問題ない。
サンプリングレートについては、初心者の人であれば正直44.1kHzでも全然問題ないと思う。
一番下!?と思うかもしれないが、44.1kHzってかなりの高音質だ。
上の図のように元の波形からほど遠いような解像度というわけではない。
ちなみに、音楽CDのサンプリングレートとビットレートは44.1kHz/16bit。
十分でしょ?
かなりこだわるという人でも96kHzあればほぼほぼ満足出来るはず。
それに、192kHzで録音したからといって、プロのような音で録音出来るわけではないということを覚えておいてほしい。
サンプリングレートが全てじゃないし、プリアンプやエフェクトなどの他の機材を使用して、そしてプロの経験と知識があって初めてああいう音にできる。
当然ミュージシャンの腕も。
とは言ってみたが、最近はリーズナブルなモデルでも192kHzに対応したものも多いので、不安な人は192kHzに対応したモデルを購入してしまってもいいとは思うが、おそらくほとんどの人がそこまでのスペックを必要としないだろう。
そしてもう一つ、入力音の音質に深く関わりのあるものとしてマイクプリアンプというものがある。
マイクプリアンプとは、接続したマイクが拾った音を増幅するための装置で、各ブランドが様々なマイクプリアンプをリリースしており、そのキャラクターによって入力音が微妙に異なってくる。
名器と呼ばれるものも多数存在し、その機種でしか得られないサウンドというものがあったりする。
で、最近のオーディオインターフェースにはこのマイクプリアンプというものが1基~2基標準で搭載されているものが多い。
基本的に高額なモデルほど高品質なマイクプリが搭載されているが、最近はリースナブルモデルに搭載されているマイクプリもかなり高品質なものになっているので、初心者の人はあまり気にしなくてもいいと思う。
たしかにモノによってサウンドは変化するが、ここを気にするならマイクそのものやケーブルなどを気にした方が良いDTMライフを送れると思う。
それに、ホントにこだわり始めると単体のマイクプリアンプを用意し始める。
なので、オーディオインターフェースを選ぶ段階では、なるべくクセのないクリアな入力音のものをチョイスすることをオススメする。
次に出音について。
ここはかなり好みの世界になってくる。
一番間違いないのは楽器屋さんに出かけて音を聞いてみることだ。
個人的には、リーズナブルなモデルでも自分が十分良い音だなと思ったのなら、無駄に高いものを買う必要はないと思う。
おそらく初心者の方は、その分音源やプラグイン・エフェクトにお金をかけた方が気持ちよく音楽製作ができると思う。
5.接続方式
オーディオインターフェースとパソコンを繋ぐ接続端子は、一昔前まではIEEE1394(Firewire)というものが主流だったが、現在はUSBが主流になっている。
「Firewire接続のこのオーディオインターフェースが使いたい」という方以外はUSB接続のタイプ、もしくはハイブリッドタイプのモノをチョイスするべし。
他にも「PCI Express」等で接続するものもあったりするが、USBのデータ転送速度もかなり向上しているのであえて選ぶ必要はないと思う。
また、USBには2.0と3.0という規格があるが、ほとんどのオーディオインターフェースが2.0に対応している。
今からパソコンを購入するとUSB3.0のポートが付いていると思うが、2.0の機器は3.0のポートでも使用することができるので問題ない。
時代の残党「ieee1394」。昔は高級オーディオIFと言えばこれだった。
現在リリースされているオーディオIFはUSBによる接続が主流。
また、最近はUSB3.0よりも高速な転送速度を誇るThunderboltという規格で接続するモデルも増えてきている。
多チャンネルを同時にレコーディングしたり、DSPプラグイン(※後述)を多用する等、多くの情報のやり取りが必要になる可能性がある人は検討してみてもいいかもしれない。
AppleとIntelが共同開発したThunderbolt。USB3.0の8倍の転送速度を持つ。
6.付属物
最近は、オーディオインターフェースに何かしらの付加価値が付いてくるものが増えてきた。
傾向としては、
ローエンドモデル
DAW・音楽制作ソフトの機能限定版が付属
ミドル~ハイエンドモデル
DSPエフェクトを搭載orエフェクトプラグインが付属
といった感じだろうか。
DSPエフェクトとは、オーディオインターフェースの中にパソコンのCPUのようなものが付いていて、パソコンのCPUに負荷をかけることなく使用できるエフェクトのこと。
最高に魅力的に聞こえるが、自分で準備したプラグインエフェクトが何でも使えるわけではないので注意。
基本的なエフェクトであるEQ、コンプ、リミッター、ディレイ、リバーブ等が用意されている場合が多いが、中にはモニタ用としてしか使えない機種も多い。
つまり、ボーカルにDSPのコンプを掛け録りしようとしても、エフェクトのかけた音は録音できない機種も多いので注意。
掛け録りできるものであればコンプやリミッターはあると便利。
また、付属するDAW・音楽制作ソフトについては、機能限定版といってもかなり優秀。
基本的なことはほとんどできてしまうので、初心者はこういったモデルを購入してしまえば、DAW・音楽制作ソフトを別途準備しなくても何とかなってしまったりする。
SteinbrgのCubase AIなどは、後から自分で購入した音源やエフェクトを追加することも出来るので、DAW・音楽制作ソフトの機能そのものに満足できなくなったら単品で購入するという方法も非常にオススメ。