先日も少し紹介させてもらったが、UADソフトウェアがVer8.1にアップデートされ、UAD-2プラグインに「Marshall Plexi Super Lead 1959」が新たに追加された。
MarshallのSuper Lead 1959と言えばギター小僧憧れのヘッドアンプ。
筆者もギタリスト出身のDTMer。
早速デモを試してみたが、そのサウンドがあまりにもあまりにも素晴らしかったので少し単独レビューを。
たかが1アンプのソフトアンプシミュレーターと侮ることなかれ。
出音の素晴らしさといいサウンドメイクの幅広さといい、非の打ちどころのない最高のプラグインである。
驚愕のサウンドクオリティ
まず何と言ってもそのサウンドに驚かされる。
Marshallの1960BHW 4×12と組み合わせてエミュレートされたそのサウンドは、他のアンプシニュレーターとは一線を画すものだ。
「まさにビンテージのPlexiの音!」
・・・とかかっこいい事を言いたいところだが、筆者はそんなもの触ったことはない(笑)
開発元はSummit AudioやTUBE-TECHなどのアナログ機器のエミュレートプラグインで技術力にも定評のあるSoftube。
さらに今回のプラグインの製作にあたりMarshall自身がミュージアムから無垢の1967 Super Lead を提供している。
ちょっと聴き比べをしてみようと思う。
今回は対戦相手として、IK MultimediaのAmplitube、Native InstrumentsのGuitar Rig、WavesのGTR3を用意してみた。
AmplitubeとGuitar Rigについては「Plexi(Super Lead 1959)」のモデリング、GTRについてはMarshallの100ワットをモデルにしたというアンプを使用。
モノによっては実機には無いGAINノブがあったりするので全く同じ設定には出来ないが、おおよそ同じくらいの歪み加減になるように設定してみた。
キャビネットとマイクについても出来る限り似た条件になるようにセッティングをしたが、有るモデル無いモデルがあるので全く同じ条件ではない。
筆者が打ち込んだMIDIデータをVIR2のELECTRI6ITYで鳴らしてバウンスしたものに各アンプシミュレーターを掛けてみた。
Amplitube
Guitar Rig
GTR3
UAD-2 Marshall Plexi Super Lead 1959
どうだろう?
技術的なことはよくわからないが、このクオリティは異常だ。
このサイトのアンプミュレーター聴き比べでもダントツでトップだったIK MultimedaのAmplitubeと比べてもそのクオリティの高さは別格と言える。
インターフェース
次に機能の紹介。
まずはメインインターフェース。
・・・汚なっ。
UAD-2はモデルにした実機の見た目も忠実に再現することでも有名(笑)
「無垢」ってのは内部のカスタマイズがゼロという意味なんだろう(当たり前?)。
見た目はご存知100ワットSuper Lead 1959そのまんまなので操作に迷うことはない。
Presence、Bass、Middle、TrebleのノブにVolumeI、VolumeⅡのボリュームノブ。
また、実機同様I、MPUT1×2、INPUT2×2合計4つのINPUTジャックがある用意されている。
ギタリストの中では有名な話だがSuper Lead 1959のINPUT1は非常に低音が弱く、逆にINPUT2は高域が弱いという特性を持っており、INPUT1とINPUT2をパラレル接続することで豊かな低域を得るという独特のサウンドメイキング術がある。
このプラグインはそんな手法もしっかりと再現できるようになっているという徹底ぶり。
この辺は回路を忠実に再現するUAD-2だからこそ出来る技なのだろうか。
チャンネルストリップ・セクション
インターフェース右側にはチャンネルストリップセクションがあり、メインアウト、グローバルEQ、マイク選択ノブがあり、さらに各マイクのレベルとPanをコントロールできるレベルフェーダーが3基搭載されており、レコーディング環境を意識した細かなサウンドメイキングが行える仕様になっている。
個人的にはこのセクションの存在とそのクオリティがサウンドを飛躍的に向上させていると感じる。
ま、肝心のアンプじゃないところなんだが(笑)
マイクの種類はValve(チューブ)、FET、Dynamicの3種類の組み合わせから選択可能で、マイクの組み合わせはそれぞれ以下のとおり。
Dynamic
Mic1 Shure SM 57
Mic2 Sennheiser E 609
Room Neumann U 87
FET
Mic1 Josephson E22
Mic2 Neumann U 87
Room Coles 4038
Valve
Mic1 Neumann U 67
Mic2 Neumann U 67
Room AKG C12
なんとも贅沢なマイキング。
そしてこの辺りのエミュレートに関してもレベルが違う。
・・・ま、ShureとノイマンとAKG以外は初めて聞いた名前だが(笑)。
これらのマイクのバランスをレベルフェーダーでコントロールすることで、非常に幅広いサウンドメイクが可能となっている。
冗談抜きでマイキングの勉強ができてしまうレベルだ(笑)
超強力なプリセット
さらに、Softubeは今回のプラグインを開発するにあたって、Tony Plattという人物の協力を得ている。
このトニーさん、Marshallを知り尽くした男と呼ばれるほどの人らしく、今回のプラグインにはこのトニーさんがメイクした50のアンプ&マイクセッティングのプリセットが収録されている。
一つのアンプで50種類ですぜ?
勉強になりますトニーさん!
これがまた素晴らしいんですわ。
筆者は音源にしてもエフェクトにしてもあまりプリセットを使わない人間なのだが、このプリセットに関しては「どこもいじりたくない」と感じるほど完成されたサウンドを奏でる。
まさに知り尽くした男によるスイートスポットの嵐なのだろう。
筆者のようなド素人が下手に手を出すと大事なバランスが崩れてしまいそうで怖い・・・。
まとめ
ということで褒めちぎってみたが、UAD-2オーナーはぜひデモを試してみてもらいたい。
単なるアンプシミュレーターとは異なり、ギターのレコーディングというものまでを恐るべきクオリティで完璧に再現したプラグインと言える。
UAD-2オーナーでない方も、ギタリストならこのプラグイン目的でUAD-2の導入を検討してもいいくらいだと思う。
今回紹介したPlexiの他にも、
・ENGL® E646 VS Limited Edition Plug-In
・Distortion Essentials Plug-In Bundle
・Friedman Amplifiers Plug-In Collection
・Softube® Vintage Amp Room
など、ギターのレコーディングクオリティを飛躍的に向上させるプラグインがUAD-2にはたくさんある。
ENGLもかなりいい感じなので是非聴いてみてほしい。
Apollo Twin以降、一般ユーザーにも一気に広まっているUAD-2。
一般的なオーディオインタフェースと比べると少々高額な製品ではあるが、ミキシングツールにあまり興味のないユーザーでもギターのレコーディングにこだわるDTMユーザーなら検討する価値は十分にある。
とにかく素晴らしい。
ぜひお試しあれ。
Universal Audio Apollo Twin
ハイクオリティDSPプラグイン「UAD-2」やアウトボードチャンネルストリップで有名なUniversal Audioの卓上型オーディオインターフェース。
最大24bit/192kHzでのオーディオ解像度に対応し、2in6out(アナログ)の入出力に対応する。
上位モデルのApolloシリーズと同じパーツが使われており、音質は録音、出音共に非常にハイクオリティ。
また、同社のUAD-2プラグインが利用できるDSPプロセッサーが搭載されており、有名チャンネルストリップのモデリングプラグイン等の掛け取りにも対応する。
さらに新技術の”Unison™ テクノロジー”を採用しており、挿入したチャンネルストリッププラグインに合わせて、ハード側のマイクプリも最適な設定に調整されるという優れもの。
同社の人気チャンネルストリップUA610をモデリングしたUA 610-B Tube Preamp and EQはなかなかの優れもの。
DSPプロセッサを1基搭載した「Apollo Twin Solo」と、DSPプロセッサを2基搭載した「Apollo Twin Duo」の2ラインナップがリリースされている。
筆者自身も愛用中。
メーカーサイトへ。
ダイナミックマイク:〇
コンデンサーマイク:〇
動作環境
Mac専用
対応オーディオドライバ
Core Audio
オーディオ解像度
最大24bit/192kHz
入出力
2in6out
INPUT1、2(XLR、TRSコンボジャック、・Hi-Zイン)
OUTPUT1~6(TRS×4)、ヘッドフォン出力
接続方式
Thunderbolt
電源
DCパワー
付属ソフトウェア
Realtime Analog Classics Bundle
・UA 610-B Tube Preamp and EQ
・Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier
・1176SE/LN Classic Limiting Amplifiers
・Pultec Pro EQ
・RealVerb-Pro
・CS-1 Precision Channel
・Softube Amp Room Essentials (“Amp Room Half-Stack” と “Bass Amp Room 8×10″)