少し前の話になるが、Twitterであるお方から作曲の依頼を受けた。
軽く打ち合わせをしたところ、作った曲を初音ミクで歌わせる予定とのこと。
・・・実は筆者、DTM歴はかれこれ15年になるが、VOCALOID歴は0年。
今まで一度も触ったことが無い。
なんというか、
「この流行に乗ってやるものか!」
っという思いが強く、今まで断固VOCALOIDには手を出してこなかった。
このサイトでVOCALOIDを一切紹介していないのもそういった理由だ。
・・・困った。
曲を作る前に、どんな声質で、どんなことができるのかは知っておきたいところ。
ニコ動やYoutubeでいろんな曲を聴いてはみたものの、いまいちポテンシャルが掴みきれない。
というわけで・・・
思い切って購入。
・・・エロ本買うより恥ずかしかった。
さっそくインストール。
筆者は現在、Mac+Logicという環境。
SteinbergのVOCALOID Editorは使うことが出来ないようなので、Piapro Studioというエディターを立ち上げて打ち込みをすることになる模様。
とりあえず打ち込んでみる。
この辺は一般的なDAWのピアノロールと変わらない。
歌詞の入力についてもすぐに理解できた。
また、息継ぎを入れることが出来るようなので息継ぎも入力してみた。
また、今回購入した「初音ミク V3 バンドル」にはENGLISH(英語ライブラリ)を含む6種類のライブラリが用意されている。
一通り聴いてみることに。
ORIGINAL
オリジナルのミク
SWEET
吐息成分が多いささきくような声
DARK
落ち着いた雰囲気の声
SOFT
やわらかいおしとやかな声
SOLID
張ったような歯切れのいい声
今回の曲はバラードなのでSWEETとかSOFTとかががいいのかな〜と思っていたのだが、実際に聴いてみるとSWEETは吐息多すぎ、DARKは暗すぎ、SOFTははっきりしなさすぎ、SOLIDははっきりしすぎ。
ということで結局オリジナルを使用することに。
ENGLISHのライブラリはコーラスで使ってみようと思う。
さて、ここからはいよいよ「調教」というものをやってみる。
調べてみるとVOCALOIDのパラメータには以下の種類がある。
VEL
子音の長さを調整。
DYN
音量を調整。
BRE
声に含まれる息の量を調整。
BRI
声の明るさを調整。
CLE
声をシャープにする。
OPE
口の開け具合を調整。
GEN
男声~女声の調整。
POR
ポルタメントの開始位置の調整。
PIT
いわゆるピッチ。
PBS
ピッチの変化幅を調整。
VEL
ミクのベロシティは一般的なベロシティとは異なり、子音の長さを調整するパラメータとなっている。
子音の長さと言われれてもあまりピンとこないかもしれないが、要は文字のアタック感。
値を大きくすると文字のド頭の発音が強くなり「ハキハキ」とした発音になり、小さくすると文字のド頭の発音が弱くなり「ホワーン」とした発音になる。
なるほど。
人間が単語の発音する場合、文字によってアタック感は様々。
それを調整してやるわけだ。
ということで、これも実際に口ずさみながらいじってみた。
最初の文字のアタックを一番強くして徐々に弱くしていけばいいかな?っと思ったのだが・・・一概にそうとも言えない模様。
文字や単語によってアタックの値は細かく設定する必要がある。
「僕はなぜ」の「ぜ」のアタック感が非常に強い。
値を下げていってちょうどいいところを探してみたが、なかなか「ここ!」っという値がみつからない。
他のパラメータで調整できるかもしれないのでとりあえず次に進んでみる。
DYN
こちらが一般的な音源のベロシティにあたるパラメータ。
結構激しく抑揚がつくが、そもそもボーカルは音量差が激しいパート。
音量よりも「どんな歌い方になるか」を優先してみた。
音量差は一般的なボーカルと同様にオートメーションやコンプレッサーで対応することにする。
ささやく感じということでAメロを40くらい、Bメロを60くらい、サビを70〜80くらいに設定。
サンプルはAメロの部分。
BRE
息っぽさと言えばいいのだろうか?
このパラメータの値を大きくするとため息交じりの声になる。
今回の曲はバラード。
ちょっと切なさを出したいので少し値を上げてみたものの、なんだかイメージとは違ったので結局0に戻すことに。
BRI
いわゆる声の明るさ。
値を上げるとハイファイな感じに、値を小さくするとローファイな感じになる。
少しだけ上げて80に設定。
CLE
声の輪郭をどのくらいはっきりさせるか。
模索はしたもののこちらもデフォルト値で。
OPE
口の開け具合をシミュレート出来るパラメータ。
一曲通して口を最大に開けっぱなしということはあり得ないだろうということで、こちらも実際に歌って口の開け具合を確認しながら調整してみた。
・・・想像してみてほしい。
30代のオヤジが夜中にパソコンに向かってダッ◯ワイフのような顔をしている。
・・・だれにも見せられない姿だ。
これ以上落ち着かせることは難しそうだ。
よりリアルさを出すためには別の方法を考える必要がありそうだ。
GEN
男性声と女性声どちらに寄せるかというパラメータ。
・・・男と女って言うよりオカマと女という感じ。
イメージとしてはオカマ寄りかな?と思っていたのだが、こちらも実際にいじってみるとイメージとはまた違う雰囲気。
模索の結果、若干女寄りの80に設定。
POR
ある音から次の音への変化速度を調整するパラメータ。
このあたりはシンセサイザーのポルタメントと一緒。
しゃくりを再現する際に使うのだろう。
今回は使用する機会はなかったが、リアルなボーカルに仕上げるには必須だろう。
PIT/PBS
ピッチをコントロールするパラメータ。
PBSでピッチ変化の上限を設定して、その範囲内をPITでコントロールするといった具合。
シンセのピッチベンドと同じ。
ピッチを細かく動かすようなボーカルのテクニックを表現するのに使用できる。
ビブラートにも使うのかな?と思ったが、ミクには別途ビブラートが搭載されている。
が、これが個人的にはかなり不自然。
ピッチベンドであえて適度に不安定なビブラートを表現した方が、かえって自然な感じになるかもしれない。
今回はテクニックを持った歌い手にする予定ではないので、こちらも今回は使用しなかった。
とまあ、実際に使ってみることでだいぶ初音ミクの声を把握出来た。
現在は、無事一曲作り終えて「後はミックスのみ」という状態までたどり着いたところである。
現段階で気になっているのは、
・ペラッペラ加減
・高域に見え隠れする耳障りな音
・全体的な篭り
ミキシングをしながらこの辺りを解決していこうと思う。