TV等でレコーディングエンジニアの作業風景が映ったとき、何やら青っぽい機材のツマミをガチャガチャ動かしている場面をよく目にする。
その青っぽい機材の正体は、Pultec EQと呼ばれる真空管回路を採用したイコライザー(をモデルにしたTUBE-TECHのEQ)である。
単純明快な操作性、真空管によって得られる独特の質感から非常に人気の高いイコライザーである。
「Pultec(パルテック)」というのはおそらくブランド名だと思うが、オリジナルはとても古い機材で現在ではいくつかのブランドがこのパルテックのEQをモデルにしたイコライザーを販売している。
ブラグインもWavesやUA等がパルテックEQをエミュレートした製品をリリースしており、現在では比較的安価に疑似パルテックEQを体験することが出来る。
ここではUniversal AudioのUAD-2プラグイン「Pultec Passive EQ Plug-In Collection」を紹介する。
Pultec Passive EQ Plug-In CollectionはパルテックEQ3製品のバンドルで、
上から、
EQP-1A
MEQ-5
HLF-3C
中でもEQP-1AとMEQ-5が有名で、それぞれブースト/カットできる周波数帯域が異なる。(HLF-3Cはローカット/ハイカット用のイコライザー。)
使い方自体はいたって簡単。
周波数帯域を設定して、ブーストするかカットするかをいじるだけ。
面白いのはブーストするつまみとカットするツマミが別々になっているという点。
ということは、ブーストとカットを同時に掛けるということもできてしまう。
例えば、同じ周波数を1dBブーストして1dBカットしたとする。
まあ、単純に考えれば「フラット」に戻るって話なのだが、こいつの場合は戻らない。
Q幅に若干の違いがあるらしく、独特の変化をする。
この辺のオリジナルの特徴もPultec Passive EQ Plug-In Collectionでは再現されている。
・・・ぶっちゃけ筆者はやらないが、この独特の変化を好んで使用するエンジニアも多いそうだ。
また、こいつは通しただけで音に艶が出る。
さらにブーストした時の音の出方も独特で、オケ中での存在感もグッと向上する。
どちらかというと味付け要素の強いプラグインだが、余計な音の変化がないプラグインの代わりにこういったEQを使うとかなり雰囲気、迫力が出る。
UAD-2プラグインを使用するには、UAD-2アクセラレーターもしくはUAD-2プロセッサーを搭載したオーディオインターフェース等が必要になるが、最近はArrowやApollo Twin等、比較的安価なモデルもラインナップされているので、懐に余裕のある人はぜひとも試してもらいたい。
また、Wavesもも同じくパルテックEQをエミュレートしたプラグイン「PuigTec EQP-1A + MEQ-5 EQ」をリリースしている。
こちらはもちろんDSP無しで使えるし動作自体も軽いので、各チャンネルに挿したいときなどはこちらの方がいいかもしれない。
バンドルではPlatinum以上にバンドルされている。
Goldにバンドルされていないのが非常に残念だが、キャンペーン等を利用すれば数万円でGETできるので気になる人はウォッチしてみてほしい。