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超初心者のためのミキシング講座/イコライザー編⑬【ボーカルをオケに乗せた時のEQ処理のポイント&総集編】

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どもども。
今回はイコライザー総集編ということで、ボーカルを含めた全てのソースを重ねたときのEQ処理のポイントを問題点別に紹介してみようと思う。

まずは自分の表現したい空間を明確に

最初にゴールの設定。
ミキシングはゴールをどう設定するかでその処理内容はガラリと変わる。
まずはゴール(自分がどんな空間を表現したいのか)を明確にしておいたほうがいい。
毎回図におこす必要はないと思うが、最低でも頭の中で「こういう空間を表現したい」というイメージは固めておきたい。

今回は以下のような空間をゴールに設定する。
イメージとしては「狭めのスタジオ」。

haiti

復習になるが、EQでコントロールできるのは「音の上下」。
厳密に言うとやっていることは帯域別の「音の前後」のコントロールなのだが、それらを積み重ねることで音の上下を組み立てていくといったイメージ。
すなわち、今回のミッションは、

聴こえてきてほしい高さから聴こえてきてほしい音がしっかりと聴こえるようにしてやることで、ゴールのような上下の配置のように聴こえるようにしてやる

ということになる。

ゴールとのギャップを探る

では、さっそくサンプルを聴いてみる。
素材自体は前回までの講座で使用したものと同じだが、今までに施したEQ処理はハイパスを含めて全て外してある(音作り目的のEQ処理は除く)。
使用音源は、

ドラム:「Native Instruments Studio Drummer
ベース:「SPECTRASONICS Trilian」 + 「Amplitube Ampeg STV
ギター:「VIR2 ELECTRI6ITY」 + 「UAD-2 Marshall Plexi Super Lead 1959
ボーカル:・・・30代のオッサン

っといった具合。
これらをすべて重ねたものがこちら。

【EQ処理前】

ん~。

いい感じにゴチャゴチャしてくれている

ちなみに、このサンプルはEQ以外のエフェクトも併用しながら組み立てた後に無理矢理EQだけを外したものなので、細かいことは・・・気にしないでほしい。
こいつのどこをどうすればゴールのような上下の配置になるかを考えてみる。
各々感じることはあるとは思うが、おおよそ以下のようなところが気になるのではないだろうか?

①全体的に上下の配置があまり感じられない
②キックが聴こえにくくなった
③ベースが聴こえくくなった
④スネアが聴こえくくなった
⑤ボーカルが埋もれ気味

・・・まるで仕組まれたかのようにありがちな問題点だが(笑)
ちなみに「キックが聴こにくくなったとかっておもいっきり音の前後の話じゃねーのかよ!」っと思ったそこの君!
こう考えてくれ。
「キックが聴こえにくくなった」ってことは、言い換えれば 「キックが聴こえてほしい位置から聴こえなくなった」ってことだ。
ね?上下でしょ?

・・・ま、どっちでもいい(笑)

っということで、今回はこれらの問題点別にEQ処理のポイントを紹介していってみる。

問題点別EQ処理のポイント

さて。
ほぼほぼ前回までの復習的な内容になるが、ボーカルが入ってきたことで各ポイントは変わってくるのでご注意を。
それからドラムについては各ピース(キックやスネア単体)までさかのぼってEQ処理をする可能性もあるのであしからず。

①全体的に上下の配置があまり感じられない

音の上下の配置があまり感じられないということは各周波数帯域に複数のソースの音が混同していることが原因
特にキックとベース、ベースとギターの低域、ボーカルとスネアなどは周波数特性が似ているため、カブりにカブっていまいち上下の位置関係がハッキリしなくなる。
つまり、このカブリを取り除いてやれば音の上下が明確になっていく。
まあ、そもそも楽器の音の周波数成分なんてものはかなり幅広い帯域に広がっているのでぶっちゃけ「カブって然り」なわけだが、各ソースにとってそれほど重要ではない部もあったりするので、そういったところを上手に処理してやるだけでも音の上下を感じやすくすることができる。
ここでは毎度おなじみの「ハイパスを使った最低域の処理」と「ハイシェルフを使った高域のコントロール」をやってみる。

ハイパスで最低域に差をつける

まずはハイパスを使った超低域~不要な低域の処理。
各ソースのハイパスでカットし始める周波数に若干の差をつけてやることで、音の上下の位置関係を明確にしてやる。

low

今回はゴールである配置に合わせて以下のようにカット。

ハイハット:150Hzからカット
ギター:120Hzからカット
スネア:120Hzからカット
ボーカル:100Hzからカット
ベース:60Hzからカット
キック:40Hzからカット

ちなみにボーカルについては、

男性:100~150Hz
女性:150~200Hz

あたりからカットしてやるとといいと思う。
歌声に変化が起きないギリギリのラインを探ってやるようなイメージ。

聴いてみる。

【処理前】

【処理後】

不要なカブりがなくなって上下の配置が明確になったのがわかると思う。
同時に、各ソースの音が若干聴き取りやすくなった。

高域をハイシェルフでコントロール

次に、高域をハイシェルフでコントロールして各ソースの高さを調整してやる処理。
高さ(上の位置)をコントロールするということは、上下のレンジ(幅)を広げたり狭めたり出来るということなので相対的に音の上下を明確にすることができる。

high

ぶっちゃけ今回はあまりいじらなくてもいい気がしたのだが、せっかくなのでシンバルを持ち上げてみる。

シンバル(OHマイク):4kHz付近から2dBブースト

【処理前】

【処理後】

単に「ハイファイになった」っということではなく、シンバルの鳴る位置の変化に注目してみてほしい。
また、シンバルの位置が高くなるほどドラムの音像は前に出てくるので、ボーカルとの位置関係には注意が必要。

②キックが聴こえにくくなった

ここからはスッキリポイントとハッキリポイントの捜索。
おさらいだが、

スッキリポイント・・・・カットすることで相手がやたらとスッキリ聴こえるようになるポイント
ハッキリポイント・・・・ブーストすることで己がやたらとハッキリ聴こえるようになるポイント

といった感じ。
EQをくぐらせてGainを極端に下げ(上げ)てFreqを左右に移動させてポイントを探る。

あとはQの幅と量を決めてブースト/カット。
単に「聴こえるようにする」のではなく「どこから聴こえるようにする」ということも意識してブースト/カットする量を考えたい。
キックの場合、ポイントになるのは主にメインの低域成分とアタック成分。
スッキリポイントについては、それらに干渉している各ソースの音を適量カットしてやるイメージ。
ただし、絶対的エースであるボーカルは基本的にカットしない。
ハッキリポイントについてはその逆。
キック自身のポイントとなる成分をブーストしてやることで抜けを改善してやる。
ポイントの探し方はスッキリポイントの逆。

スッキリポイントよりは探しやすいと思う。
実際にやってみる。

スッキリポイント

ベース

k-s-b

キックの重量感にカブっている100Hz付近を多めにカット。
キックのアタックを構築する4kHz、8kHzをカット。

ギター

k-s-g

750Hz付近をカット。

スネア
過激に埋もれているのでとりあえずカットせず。

ハッキリポイント

k-h

80Hzをブーストしてキックの重量感をアップ。
4kHz、8kHzをブーストしてボーカルとカブらない位置にキックのアタックを構築

聴いてみる。

【処理前】

【処理後】

スッキリポイントを探すときは、キックが狙った位置(今回は一番下)から聴こえてくるようになるかに注意。
特にアタック成分のヌケを必要以上に良くすると位置関係が崩れる原因になる。
また、ハッキリポイントを探す際は、必ず全てのソースを再生しながら探すこと。
ブーストする場所がボーカルや他のソースの成分とぶつからないかを確認しながら作業を進める必要がある。