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超初心者のためのミキシング講座 / イコライザー編⑪ 【ドラム&ベース&ギターを重ねた時のEQ処理のポイント】

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さて、今回はドラムとベース、エレキギターを重ねたときのEQポイントを紹介したいと思う。
バンドものならほぼほぼオケ全部。
いよいよ本格的にミキシングっぽくなってきた。

まずはどう感じるか

まずは何と言っても各パートを重ねて聴いたときに「どう感じるか」が重要になる。
ここで何も問題点がないと判断をするならば何も処理をしなくても間違いではないわけだ。
少し仕事チックな言葉になるが「問題点」とは、

「あるべき姿とのギャップ」

のことを言う。
つまり、自分が最初に描いた配置図に対してどのようなギャップがあるのかを見つけるわけだ。

「・・・よくわからんが・・・オレの求めているものとは違う。」

っという場合は、まずは求めているものに近いお手本を用意してみるといい。
何でもいい。
自分の好きな曲やこんな感じに仕上げたいという曲を聴いてみて配置を把握してみる。
なんなら図に書いてみるといいと思う。
そこまでいけば簡単。
あとはその曲と自分の作った楽曲とのギャップを見つけていけばいい。
これはEQに限ったことではないが、とにかく着地(目標)がうやむやだとミキシングはうまくいかない場合が多い。
しっかりと目標を決めて、その状態にもっていくためにはどうしたらいいかを考えてやる必要がある。
今回はEQ編なのでEQで解決できる問題を紹介するが、どのエフェクトを使用する場合も「こういう状態にもっていきたいからこのエフェクトを使う」という考えは忘れないほうが良い(ミキシングの場合)。

では、早速サンプルを聴いてみる。
・・・あいかわらず筆者は打たれ弱い人間なので、楽曲の出来についてはノークレームでお願いしたい。
使用音源は、

ドラム : Native Instruments 「Studio Drummer」
ベース :  SPECTRASONICS 「Trilian」
ギター : VIR2「ELECTRI6ITY」

Studio DrummerはSession kitを使用、エフェクトを全てOFFにした状態で各ピースとオーバーヘッド、ルームマイクを書き出した後にコンプとEQで音作り。
TrilianについてはRock P-Bassを使用、アンプとエフェクトを全てOFFにしてDI音を書き出したあとにアンプシミュレーターとコンプで音作り。
ELECTRI6ITYについてはLes-Paulを使用、DI音で書き出した後にアンプシミュレーターとコンプで音作り。
また、全てチャンネルストリップを挿してセンドで薄くリバーブ、マスターにはテープシミュレーターとマキシマイザーを掛けてある。
Panについてはドラムは左右40%くらいに展開、ベースはセンター、ギターは左右100%で2本入れてある。

聴いてみる。

どうだろう?
ゴールをどう設定するか(どう仕上げたいか)によって問題点は変わってくるのだが、おおよそ以下のようなところが気になってくると思う。

「上下の配置が意図している配置と違う。」
「ってか、そもそも上下の配置があまり感じられない。」
「キックが聴こえにくくなった。」
「ベースが聴こえにくくなった。」
「スネアが聴こえにくくなった。」

っということで、今回はいつもとは少し切り口を変えてこれらの問題別にEQ処理のポイントを紹介してみようと思う。

問題別EQ処理のポイント

【上下の配置が意図している配置と違う/あまり感じられない】

前回までにも何度か説明させてもらっているが、音の上下の配置というものは周波数特性によって決まってくる。
つまり、周波数特性をきちんと整理してやれば音の上下の配置はコントロールすることが出来るということだ。
まず初めに、比較的簡単な周波数特性の整理方法から紹介してみる。

各ソースの周波数の最低域に差をつける

この処理は前回までに何度か紹介させてもらっている処理だが、おさらいを兼ねてご紹介。
各ピースの上下の配置を考えてハイパスでカットし始める周波数を若干ずらして重ねてやり音の上下の位置関係を明確にしてやる処理だ。

ハイパスに差をつける

詳しい説明は前回記事に任せるとして、ここでは具体例をより多く紹介したいと思う。
例①
まずはこんな配置からいってみる。

kickgasita

ハイパスでカットし始める周波数を以下のように設定してみる。

ハイハット : 150Hzからカット
ギター : 120Hzからカット
スネア : 120Hzからカット
ベース : 60Hzからカット
キック : 40Hzからカット

聴いてみる。

ハイパスを通したことで不要なカブりがなくなり、上下の配置が少し明確になったのがわかると思う。

例②
次に、ベースとキックの配置を入れ替えた場合。

bassgasita
ハイハット : 150Hzからカット
スネア : 120Hzからカット
ギター : 120Hzからカット
キック : 70Hzからカット
ベース : カットせず

聴いてみる。

ベースをカットせずに一番下に配置してキックを若干多めにカット。
ズーンとしたベースが一番下に広がる感じになる。

例③
お次は以下のような配置の場合。

kickgauenohou

ハイパスでカットし始める周波数は、

ハイハット : 180Hzからカット
スネア : 150Hzからカット
キック : 100Hzからカット
ギター : 80Hzからカット
ベース : 40Hzからカット

のように設定。

聴いてみる

ギターとベースの低域を残して、あえてキックを高めの位置に設定。
さっきのパターンとまた違った印象になったと思う。
こんな感じで、ハイパスの設定を変えるだけで上下の配置はある程度コントロールすることが出来る。
どこからカットするかは完全にお好みだが、キックとベースは低域メインのパートなので慎重に、ギターとスネアについても土台となる成分をカットしすぎないように、ハイハットについては結構思い切ってカットしても良いと思うが、静かなバンドモノなどの場合はアナログ感を感じる部分をカットしすぎないように注意したほうがいいと思う。

高域の出し具合で上下の位置をコントロール

さて、お次は高域での処理。
最低域はハイパスで処理したわけだから、高域は逆にローパスで最高域に差をつけてやればいいと言いたいところだが、個人的には高域はハイシェルフで処理することをオススメする。
理由はいくつかあるが、決定的なのはその情報量。
低域ほど豊かではなくローパスで住み分けをしても効果は薄め。
しかも、高域には絶妙な空気感や煌びやかさの成分が含まれているデリケートは帯域でもあるので、個人的にはあまり派手にカットしたくないという思いが強い。
筆者の場合、やるとしても金物(シンバルやハイハット)の為に各ソースの高域を12~16kHzあたりからカットするくらい。
ただし、MP3ファイルに変換した場合は16kHz以上の高域は切り捨てられてしまったり、リスナーの年齢によっては12kHz以降はあまり聴こえていなかったりと、この帯域で配置の住み分けを行ってもうまく機能しないことも多い。
そんな事情を抱えた帯域でもあるので、住み分けをするというよりはハイシェルフで高域を主成分とするソースの位置をコントロールしてやるといったイメージで処理に臨んだほうがいいと思う。
下すぎるなと思った場合はブーストさせて上に吊り上げる。
上すぎるなと思ったらカットして下におろす。
と言った感じ。
上の位置をコントロールするということは上下のレンジ(幅)を広げたり狭めたり出来るということなので、相対的に音の上下をより明確にすることが出来る

ここでは先ほどの例①のサインプルの高域をハイシェルフで調整をしてみる。

シンバル(OHマイク : 3kHz付近から3.5dBブースト
ハイハット : 3kHz付近から2.5dBブースト
ギター : 無し
スネア : 無し
ベース : 無し
キック : 無し

聴いてみる。

高域の位置を少し吊り上げてみた。
レンジが広がったことで、相対的に低域のパートが「下にある」ということもより明確に感じれるようになったと思う。

このように、ハイパスとハイシェルフだけでも周波数特性の整理はある程度出来る。
もしも、それでもいまいちハッキリしないところがある場合は、もう少し踏み込んだ処理が必要になる。