パソコンを選ぶときのポイント
DTMを快適に出来る環境を整えるには、比較的ハイスペックなパソコンが必要になります。
以下は、オススメするパソコンのスペックです。
CPU : Intel Core i7 or Core i5 2.4G (4コア) 以上
メモリ : 8G以上
ストレージ : 750GB以上(回転数7,200rpm以上) or SSD(ソリッドステートドライブ)
その他 : USBポート(2.0もしくは3.0)、DVDドライブ(ソフトインストール用)
CPUについてはIntel Core i5でも2.4G以上で4コアであればおそらく問題ないでしょう。
理由はシンプルで、今の筆者のDTMマシンのスペック以上ということです。
わからないものをオススメするわけにもいかないので。
参考までにですが、このスペックで30トラックくらいのオーディオトラックに同時にEQ、コンプ、数トラックにアンプシミュレーターをかけても問題なく作業出来ていますし、音源もものにもよりますが6~7個程度なら同時に使用してもストレスなくDTMライフを楽しんでいるので、一般的なDTMユーザーならほぼほぼ満足出来るのでは?
というのがオススメする理由です。
以下からは各ポイントの説明です。
1.WindowsマシンかMacか
家庭用パソコンの2大マシン。DTMに向いているのはどっち?
よくWinマシンとMacのどちらがDTMには向いているかという議論があちこちで展開されますが、WinマシンでもMacでもどちらでもDTMは出来ます。
ただし、DAWソフトや音源にはWin専用このものがあったりMac専用のものがあったりするので、使用したいソフトが決まっている場合は注意してください。
ポイントとしてあげるとすれば、「使いたいソフトや機材が安定して使えるパソコンを探す」ということでしょうか。
なので、正解はないのですが個人的にはMacをオススメします。
というのは、Winマシンの場合、世界中のあらゆるメーカーがWinマシン用の様々なパーツを作っていて、それらを組み合わせて一台のパソコンになります。
つまり、その組み合わせの種類は無数にあるわけです。
やっかいなのは、パソコンのパーツやソフトには相性というものがあり、どうしても不具合が出る組み合わせが存在するということです。
これは、DTMの機材やソフトについても例外ではなく、使用しているパーツ次第では「オーディオインターフェースが認識出来ない」とか、「ソフトが正しく動作しない」などのトラブルが発生してしまう場合があります。
それに対してMacの場合、販売しているのはAppleだけなのでハードウェアを構成するパーツの組み合わせがある程度限られているので、そういったトラブルは少ないです。
DTMの機材やソフトを開発しているブランド側としても、動作確認もしやすいですからね。
結局、Winマシンの場合、パーツの組み合わせが無数にある為「使いたいソフトや機材が安定して使えるパソコン」を探すのがMacに比べて難しいんです。
Windowsマシンを新しく購入する場合は、可能な限り使いたいソフトや機材が安定して使えるかを調べたほうが良いと思います。
正直、それが結構難しいんですよね。
出来たとしても、新しく機材を買う度に、「きちんと動作するかは買ってみなければわからない」という状況が続きます。
まあ、ほとんどの場合は問題なく動作するんですが、そうでない場合もあるのでオススメとは言えないというところでしょうか?
当然、Windowsの環境で何の問題もなくDTMをやっている方もたくさんいるので、こればかりは何とも言えませんが・・・。
「オススメは?』と聞かれたら、筆者は「Mac」と答えます。
2.CPU
CPUとは、人間でいうところのいわゆる脳みそです。
当然性能の良いCPUほど処理速度が速くなります。
このCPUというパーツを販売している有名なブランドは「Intel」と「AMD」の2社です。
ご存知の方も多いと思いますが、世に出回っているパソコンのほとんどにIntel社製のCPUが搭載されています。
Macに搭載されているCPUもこのIntel社製です。
圧倒的なシェアを誇るIntelのCPU。
あなたのパソコンにもこのロゴシールがあるのでは?
DTMをやる場合も、特別こだわりがないのならIntel社製のCPUを搭載したパソコンを使うことをオススメします。
また、Intel社製のCPUにもいくつか種類があり、それぞれ処理性能が異なります。
代表的なものとしては、
Xeon
Core i7
Core i5
Core i3
Pentium
Celeron
などがあり、処理性能は、Xeon > Core i7 > Core i5 > Core i3 > Pentium > Celeronといった感じでしょうか。
DTMをやる場合、Core i5以上をオススメします。
欲を言えばCore i7が欲しいところです。
それ以下のCPUでは全くDTMが出来ないというわけではありませんが、CPUの処理能力に比例して、同時に使える音源の数やトラック数が増えたりするのでオススメはできません。
あまりにも処理能力の低いCPUを使用すると、ノイズが発生したり、1秒も再生出来ずにフリーズなんてことも起きてしまいます。
さて、もう一つ。
実は同じi5やi7の中にもいくつもの種類が存在します。
一つが「クロック動作周波数」、もう一つが「コアの数」、最後に「スレッド数」です。
i5やi7がリリースされてから既に5年以上が経過していて、その中で少しずつ進化をしており、今では同じi5やi7でもかなりの数になっています。
まず「クロック動作周波数」は、技術的な説明は筆者自身出来ませんが、CPUの性能を表す数値だと思ってください。
単位は「GHz」で大抵1.0~3.8Ghz程度の間で種類が展開されていて、この数値が大きいほど性能が良いということになります。
DTMをやる場合はCore i7の場合は2.4GHz以上は欲しいところです。
次に「コアの数」。
これがまた厄介なのですが、「コア」とはCPUの脳ミソみたいなものです。
CPUがパソコンの脳ミソだという説明をさせていただいたので、いわば「脳ミソの脳ミソ」といったところでしょうか。
最近のCPUはこの脳ミソが複数入っており、脳ミソが一つしかなかった時代のCPUに比べて、処理性能が飛躍的に向上しています。
一般的にマルチコアと呼ばれており、2コアであれば脳ミソは2つ、4コアであれば脳ミソが4つCPUの中に入っていることになります。
当然「コア」の数が多いほうが同時に処理できる仕事が多くなるというわけです。
昔はこのマルチコアに対応していないソフトも多く、あまりメリットを活かせない場合が多かったのですが、最近はソフト側もどんどんマルチコアに対応してきていますので、やはりコア数はが多いモデルを買っておくことをオススメします。
今だと4コア以上をオススメします。
そして最後に「スレッド数」。
もういい加減頭がパンクしそうですが、スレッド数というのはCPUが同時に処理できる仕事の数です。
「あれ?それってコアの数じゃないの?」と思うかもしれないのですが、Intelのiシリーズには、「ハイパースレッティング」という技術が使われています。
これは、「1つのコアで複数の処理が出来る技術」です。
人間でいうと男の脳ミソと女の脳ミソみたいなもんですかね?
男って同時に2つのことって出来ないじゃないですか。
それに比べて女は一度にいろんな事ができる。
電話しながら爪を切ったり、化粧をしたり、雑誌を読んだり、テレビを見たり。
ハイパースレッティングもそんな感じです。
1つのコアで2つの処理を同時にすることが出来るわけですね。
なので、
「2コア2スレッドの場合は、同時に処理できる仕事は2つ」
「2コア4スレッドの場合は、同時に処理できる仕事は4つ」
「4コア4スレッドの場合は、同時に処理できる仕事は4つ」
「4コア8スレッドの場合は、同時に処理できる仕事は8つ」
ということになるわけです。
やっぱりスレッド数についても大きいほうが良いということになりますね。
i7の場合ですと、「2コア4スレッド」と「4コア8スレッド」のモデルがありますが、この場合後者のほうが処理性能が高いということになります。
かなり長くなりましたが、まとめると、
CPUはクロック動作周波数が高くて、
コアの数が多くて、
スレッド数が多い方が性能が良い。
ということです。
最初に筆者がオススメした「Core i7 2.4G (4コア)」はクロック動作周波数2.4Gの4コア8スレッドのCPUです。
繰り返しますが、それ以下のCPUで全くDTMが出来ないというわけではありません。
あくまで、このくらいならストレスを感じずにDTMができるのでは?というラインだと思ってください。
人によってはこれでも満足出来ないかもしれませんし。
CPUは性能によって価格がかなり変わってくるので、自分の予算と良く相談して決めましょう。
パソコンをハイスペックにしすぎて、肝心のDTMのソフト類が買えないなんてことにならないように注意しましょう。
3.メモリ
メモリとは何かという説明は長くなるので割愛しますが、単位は「G(ギガ)」で、こちらも数値が大きくなるほど、処理性能が向上します。
DTMをやる場合、8G以上は欲しいところです。
DTMの場合、DAW・音楽製作ソフト自体を使うのには8Gもいらないのですが、オーディオの処理や音源を使う場合にこのメモリを大量に必要とします。
複数個の音源を同時に使用したいという方は最低でも8Gは欲しいです。
欲を言えば12Gですね。
4.ストレージ
ストレージとはファイルやプロジェクトを保存しておく保管倉庫です。
DTMでいえば、作った曲のデータ、録音したオーディオデータ、サンプル素材等を保存しておくことになります。
単位はB(バイト)で、GB(ギガバイト)もしくはTB(テラバイト)で表記されています。
・・・一応説明しておきますが、1TBは1,000GBです。
ストレージには、一番普及しているHDD(ハードディスクドライブ)と、ここ数年普及してきているSSD(ソリッドステートドライブ)というものがあります。
SSDはHDDに比べて読み込みも書込みもベラボーに早いのが特徴ですが、HDDに比べて非常に高額です。
徐々に価格は下がってきていますが、リーズナブルHDDと同じくらいの金額になるまでにはまだまだ時間が掛かります。
DTMで頻繁に使用することになるオーディオファイルのデータは、他の一般的なファイルに比べてファイルサイズが大きめですすし、DTMで使用するソフトは1つインストールしただけで数G占領されてしまうようなものも多いので、メインマシンとして使うなら最低でも500GB以上は欲しいです。
曲をたくさん作る方、多くの音源をインストールする予定の方は750G以上欲しいでしょう。
SSDを搭載する場合にはそれなりの金額が必要になることを覚悟しておきましょう。
また、HDDには回転数(rpm)というものが存在して、この回転数が大きいほど読み書きが早く出来ます。
一般的なHDDの回転数は5,400rpmもしくは7,200rpmで、DTMをする場合は7,200rpmのHDDをオススメします。
中には10,000rpm以上という製品もありますが、こちらもちょっと高額です。
最後に、パソコンに搭載するストレージの数ですが、HDDを複数個用意してOS、アプリインストール用、データ保存用、バックアップ用のように分けて使うことで、パフォーマンスを向上させるという方法もあったりします。
予算に余裕がある方は検討してみてください。
5.USBポート、DVDドライブ
USBポート(2.0もしくは3.0)
外付けのサウンドカードであるオーディオインターフェースや、iLokと呼ばれるソフトのライセンスを管理するドングルを使用する為に必要になります。
最低でも1つのUSBポートがあるパソコンを選びましょう。
出来れば2つ以上ですね。
正直、ポートが2つあっても足りなくなる可能性は高いのですが、別途USBハブを購入してポートを増やすことができるので、そんなに神経質になることもないと思います。
また、USBの規格には2.0と3.0がありますが、オーディオインターフェース等のDTMに使用する製品はほとんどが2.0に対応しています。
今からパソコンを新品で購入する場合、付いているUSBポートの規格は3.0になると思いますが安心してください。
3.0のポートでも2.0の製品を使用することが出来ます。
DTMソフトのライセンス管理で使用する「iLok」もUSBポートを使用する。
DVDドライブ
これは、DAW・音楽製作ソフトや音源等をインストールする為に必要になります。
最近はダウンロード販売が増えてきましたが、まだまだ製品版も多いですからね。
また、ノートパソコンなどDVDドライブが付いていない場合は、「外付けのDVDドライブを使う」という方法でも問題ありません。