DAWソフトを選ぶときのポイント

1.パソコンの対応状況

DAW・音楽制作ソフトも、他の一般的なパソコンソフトと同様にWin専用のもの、Mac専用のもの、またはその両方に対応しているものがあります。
自分の環境に合わせたソフトをチョイスしましょう。
代表的なものとしては、

Win/Mac両対応

・Pro Tools
・Cubase
・Digital Performer
・Studio One

Win専用

・SONAR

Mac専用

・Logic
・GarageBand

などがあります。

2.価格

DAW・音楽制作ソフトは、無料で使えるものから数万円のものまで様々です。
しかし、実は音楽制作ソフトとしての機能としては、大きな差はなかったりします。
いや、あるにはあるのですが、そんなに気にする必要がないところなんです。
同じシリーズの一番高いモデルと安いモデルで再生される音が変わるということはありませんし、機能に若干差があったとしても、人によっては「本当にこの機能必要なの?」という機能だったりします。
おそらくほとんどの方は無料のものでも意外と問題なくDTMが出来てしまうと思います。
では、なぜこんなに金額に差があるのでしょう?
答えは次に説明する付属するプラグインエフェクトや音源にあります。

3.付属するプラグインエフェクト、音源

というのも、最近のDAW・音楽制作ソフトは非常に高機能で、機能自体は実はほぼほぼ飽和状態にあります。
そこで各社、付属するプラグインに力を入れて差別化を図ろうという状態が続いています。
おかげで付属するプラグインの質と量といったら昔とは比べものにならないくらい向上しているといった状態です。
初心者の方は気をつけて欲しいのですが、あるメーカーの一番高いモデルを買ったからDAWとしての機能が著しく高いということもありませんし、逆に一番安いモデルを買ったから著しく機能が低いということはありません。
あくまで、変わるのはプラグインの量と質だと思ってください。
イメージとしては、

無料~ローエンドモデル

ちょっとしたマルチ音源といくつかの基本エフェクトが付属。

ミドルエンドモデル

それなりのマルチ音源と専用音源が付属。ローエンドモデルに比べてエフェクトの種類が豊富。
ミキシングまで可能。

ハイエンドモデル

ミドルエンドモデルに質の良い音源やエフェクトが付属。
ミキシング、マスタリングまで可能。

といった感じです。
ハイエンドモデルを購入すれば、とりあえずマスタリングまで出来る環境が整ってしまうわけですね。
しかし、付属するプラグインエフェクトや音源が、万人が満足出来るものかというとそうではないと思っておいた方が良いです。
昔に比べて質は確かに向上していますが、単品で売っているプラグインエフェクトや特定の楽器に特化した音源等の中には、さらに質が良いものがたくさん存在します。
作りたい曲のジャンルによっては、DAW・音楽製作ソフトは無料のものを使って、浮いたお金で単品の音源を揃えた方がクオリティは高くなったりするので気をつけてください。
個人的には、ハイエンドモデルを購入するほど気合いを入れてDTMをやるなら、DAW・音楽製作ソフトにはあまりお金をかけないで、自分の気に入ったプラグインエフェクトや音源を購入することをオススメします。
メーカーのHPやYouTubeなどでサンプルも聴けるので安心です。

4.利用できるプラグインの規格

DAW・音楽製作ソフトによって、使用できるプラグインの規格が異なります。
DTMにおけるところのプラグインとは、曲を組み立てる音楽制作ソフトそのものの機能の他に、後から追加できる音源やエフェクトのことを言います。
代表的なDAW・音楽製作ソフトの対応しているプラグインの規格は、

・Protools : AAX、RTAS(Ver.10以前)
・Cubase : VST
・Digital Performer : VST、AU(Macのみ)、MAS
・Studio One : VST
・SONAR : VST、DXi
・Logic : AU(Audio Units)
・GarageBand : AU(Audio Units)

となっています。
もしも使いたい音源が既に決まっている場合は、その音源が対応している規格のプラグインを使用することができるDAW・音楽製作ソフトを準備する必要があります。
ちなみに、現在DTMで一番普及しているであろうプラグインの規格は「VST」です。
業務用での話で言えばPro Toolsの採用している「AXX」、「RTAS」でしょうか?
AUはMac専用の規格なので、他に比べると普及率は低いです。
いづれにせよ、有料のプラグインはほとんど「VST」、「AAX」、「RTAS」、「AU」に対応しているので、どのソフトを購入してもそんなに困ることはないとは思います。
ただし、「VST」についてはネット上で公開されている無料の音源やエフェクトが数多く存在します。
そういった無料の音源をフルに活用したいという方は、「VST」が使用できるソフトを選ぶべきでしょう。

5.使いやすさ

正直、使いやすさについては人それぞれです。
筆者自身、「Pro Tools」、「Sonar」、「Cubase」、「Logic」を所有していますが、結局のところ、全てが完璧と感じるものはありません。
それぞれが得意とするところがあったり、「この作業はこっちのソフトのほうがやりやすいな」と感じるところもあります。
ただ、結局のところ「使いこんだソフト」が一番使いやすくなります。
初心者の方は、どのソフトを購入したとしても使い方を覚えるためには、それなりの時間がかかります。
機能面では大きな差はないので、ここでそんなに悩む必要はないと思います。
しいて言えば、初心者でもわかりやすくて使いやすいだろうな~と思うのは、AppleのLogicとGarageBandでしょうか。
インターフェースが考え抜かれてますね。
例外としてですが、「Pro Tools」については、業界標準となっていて、ほとんどのスタジオに導入されています。
将来、エンジニアの仕事がしたいという野望を持っている方は、Pro Toolsの使い方に慣れておくことをオススメします。
それから、初音ミク等のVOCALOIDをガンガン使用する予定の方は「VOCALOID Editor」というものを使用出来るという点ではCubaseが便利と言えるでしょう。

6.無料で使えるDAW・音楽制作ソフトを活用する。

一昔前は、10万円近かったDAW・音楽制作ソフトも、現在は無料で手に入れることが出来る時代です。
「DAW・音楽制作ソフト自体にはあまりお金をかけたくない」という方は、是非検討してみてください。
浮いた予算でかなり優秀なプラグインを手に入れることも出来ますので。
Macユーザーの方は、Macを購入すると標準で付いてくる「GarageBand」がオススメです。
基本的なことはほとんど出来ますし、「Audio Units」という規格のサードパーティー製の音源やエフェクトを追加できるので、非常にクオリティの高い作品を作ることも可能です。
Winユーザーの方は、GarageBandのようなソフトはありませんが、最近はオーディオインターフェースやMIDIキーボードなどを購入すると、有名なDAW・音楽制作ソフトの機能限定版がバンドルされているものが多いです。
機能限定版といってもかなり優秀ですので、意外と初心者の方の中には付属のソフトで満足できてしまう方も多いと思います。
もちろんこちらも、対応する規格のサードパーティー製の音源やエフェクトを追加できるものが多いので、非常にクオリティの高い作品を作ることが可能です。
以下に、代表的な機能限定版DAW・音楽制作ソフトと、それらが付属するオーディオインターフェースを紹介しておきます。

代表的なDAW・音楽制作ソフト
無料で使えるDAW・音楽制作ソフト