これさえ知ってりゃなんとかなる!プリセット派ユーザーのためのシンセサイザー講座【第3回】

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その他のよく使うセクション

ここまでに紹介したセクションやパラメータの他にもアナログシンセサイザーには様々なセクションやパラメータがある。
ここからは、その中でもわりかし有名でよく使われるものをいくつか紹介していく。

EG(エンベロープジェネレータ)

前回、EGは音に時間的な変化を与えるパラメータであることを説明したが、これは音量に限った話というわけでもない。
シンセサイザーによっては、この時間的な変化をVCOのピッチやVCFのカットオフ等に掛けることが出来る。
つまり、波形のピッチやカットオフの周波数を時間的に変化させることが出来るわけである。
基本的にはADSR各パラメータの役割はVCOの時と同じだが、VCO、VCFにEGを掛けることを前提とした場合、各パラメータの意味合いは以下のようになる。


基本的な考え方はVCAの時と同じ。

A(Attack):設定した値までに到達する時間

D(Decay):Attackの後、Sustainで設定した値までに到達する時間

S(Sustain):ノートが続いている間における値の最大値

R(Release):ノートが終了した後の効果の持続時間

Noise Makerの場合、VCA用のEGの他にVCFセクションにVCF用のEGが用意されている。

また、Moise Makerは、EGの他にENVELOPE EDITORたるものを搭載している。
このENVELOPE EDITORを使用すれば、各パラメータに自由にエンベロープを掛けることも可能。
この場合、カーブを自由にマウスで動かせるのでより視覚的かつ直感的に音色に動きをつけることができる。

各パラメータの役割は以下のとおり。

Dest:エンベロープをどこに掛けるかを決定する。

Speed:時間軸を設定するパラメータ。

Amount:エンベロープの掛け具合を決定するパラメータ。

★マーク部分:エンベロープのリセットボタン。

Massiveの場合はEGが合計で4つ搭載されており、コントローラー上のEnv1~Env4のタブをクリックすることでそれぞれのEG設定画面に切り替わる。

Env4はデフォルトでAmpに適用されているので、Env1~3の赤丸部分を適用したいパラメータ下の四角いスペースにドラッグすることでEGが使用可能となる。

A・D・S・Rそれぞれの値をコントロールするノブは以下のとおり。


SustainはDecayの隣のlevelというパラメータ。

また、Pitch下の四角にEGを割り当てた際に横に現れる数字はピッチを動かす範囲を設定するもの。
最大1オクターブ動かしたい場合は「12」に設定、最大2オクターブ動かしたい場合は「24」に設定する。

では、EGの実際の使用例をいくつか紹介しておく。
各参考設定値はMassiveを使用した場合のものである。

VCOのPITCHにEGを使用

PITCHにEGを掛けることで音程に時間的変化を与えることが出来る。
例えば次のような使い方がある。

徐々に音程を上げていく。

参考設定値
A:Max
D:0
S:Max
R:0

VCFのCUTOFFにEGを使用

カットオフにEGを掛けることで、カットする周波数帯域に時間的変化を与えることが出来る。

徐々にカットする周波数をあげていく。

参考設定値
A:Max
D:0
S:Max
R:0

発音後すぐにCutoffを絞る。

参考設定値
A:0
D:10時
S:0
R:0

また、ノイズ波形にLow-Passを通して発音後早めにCutoffを絞ることで以下のような効果音も作れる。

ノイズ+Low-Pass+EGによる効果音。

参考設定値
A:0
D:2時
S:0
R:0

どうだろう?
何となくどこかで聞いたことのあるような効果なのではないだろうか?
こんな効果も実はEG(ADSR)のパラメータを調整することで作ることが可能。
ここでは、ピッチとカットオフで説明したが、他のパラメータにEGを使用することで非常に様々な効果を生み出すことが出来る。

ポルタメント

ポルタメントは、ひとつの音の音程から次の音の音程に移る時間を変えるパラメータである。
文章だとちょっとわかりにくいと思うので実際に聞いてみる。

ポルタメントOFF

当然だが、ある音の音程から次の音の音程にすぐ切り替わる。

ポルタメントをON

ある音の音程から次の音の音程に移るとき、すぐには切り替わらず、一定の時間をかけて次の音の音程に辿り着く。

また、ポルタメントを設定できるシンセサイザーのほとんどが、どのくらいの時間をかけて次の音程に辿り着くかも設定できる。

TIME遅め

TIME早め

これも様々な楽曲でよく聞く効果なのではないだろうか?

Noise Makerの場合、Masterセクションの中にポルタメントのパラメータが搭載されている。
VOICESはmonoに設定する。

各パラメータの役割は以下の通り。

★マーク部分:ポルタメントのON/OFF。

Porta:ポルタメントのスピードを調整するパラメータ。

Massiveの場合は、下の写真のVOICINGタブにある赤囲み部分のスイッチをMonophon(MonoratateでもOK)Legato(Legato TrillerでもOK)に設定。

OSCタブにあるTIMEでポルタメントの速度を設定できる。

LFO

LFOとは、人間の耳には聞こえない低い周波数の波形を発振するオシレーターなのだが、この低い周波数の波形をVCOやVCF、VCAに掛けることで様々な効果を得るセクションである。
どのような効果を得られるかは、LFOが発振する波形や、入力するセクションによって変わってくる。
ここでは、VCO、VCF、VCAの各セクションにLFOのサイン波を掛けた場合の代表的な効果を紹介しておく。

VCOのピッチに掛けた場合。

いわゆるモジュレーション効果を得られる。



VCFのカットオフに掛けた場合。

いわゆるワウ効果を得られる。


VCAのAmpに掛けた場合。

いわゆるビブラート効果を得られる。


Noise Makerの場合、LFOは2基搭載されている。

各パラメータの役割は以下の通り。

Rate:LFO周波数を決定するパラメータ。
Sync:クリックするとLFOの周波数をDAWのテンポ(曲のテンポ)と同期させることが出来る。
Amount:LFOの掛け具合を決定するパラメータ。
★:この波形図をドラッグで上下に動かすことで、LFOの波形のタイプを変更できる。

Massiveの場合は、Env1〜4の隣にある5~8番のコントローラーを適用したいパラメータ下の四角いスペースにドラッグすることで使用出来る仕組みとなっている。

気を付けたいのが、Massiveの場合、コントローラーでLFOを設定すると2基のLFOが適用されるという点。
LFOを1基のみ使用したい場合は、XFadeCurveでどちらか一方にバランスを振り切ることになる。

各パラメータの役割は以下の通り。

Rate:周波数を決定するパラメータ

Amp:LFOの掛け具合を決定するパラメータ

sync:クリックするとLFOの周波数をDAWのテンポ(曲のテンポ)と同期させることが出来る。

restart:ONにするとノートが切り替わるたびにLFOが再起動する。

XFadeCurve:LFO1とLFO2のバランスを決定するパラメータ

Curve Select:LFOの波形を決定する部分。Massiveの場合、基本波形のほかにも様々な波形が用意されている。

よく使うエフェクト/テクニック

Detune(デチューン)

VCOセクションでも説明したが、改めて紹介しておく。
デチューンとは、2つの音程の同じ音の片方を微妙にチューニングをずらすことでコーラスのような音の広がりを得る方法のことである。
この手法はトランスリード等でよく使われた手法だが、その他のジャンルでも使うことが多いので覚えておくと何かと便利である。

Detune OFF

Detune ON

Noise Makerの場合、OSCセクションのFINEでピッチの微調整が可能。

Massiveの場合は、各OSCのピッチを数字で設定する仕組み。
Detuneを狙いたい場合は、少数部分を微調整する。

Arpeggiator(アルペジエーター)

シンセサイザーと言えばアルペジエーターというイメージを持つユーザーも多いくらいメジャーなエフェクター。
自動でアルペジオを生成するエフェクターで、アルペジオとは、ギター等で用いられる奏法のひとつで和音を低い方または高い方から順番に弾く奏法のこと。
つまりアルペジエーターとは、ひとつの鍵盤を押さえただけで自動でアルペジオ演奏を行わせることが出来るエフェクターである。
ものすごく簡単に言ってしまえば、ひとつの鍵盤を押さえただけで様々なフレーズを奏でることが出来るエフェクター。
また、シンセサイザーにアルペジエーターが搭載されていなくても、DAWのピアノロール等で打ち込みをすればアルペジエーターと同じ効果が得られる。
以下にサンプルをアップしておくが、ポイントは一つの鍵盤を押しっぱなしにしただけでこのようなフレーズを奏でるという点だ。

ありがちなアルペジエーターによるリフの例

Massiveの場合、LFOで使用した5~8番のコントローラーがLFOとSteper(アルペジエーターとして使用)の兼用となっている。
OSCセクションのPitch下の四角スペースに5~8番のコントローラーをドラッグ、写真赤囲み部分でSteperを選択することでアルペジエーターと同じ機能が使用可能となる。


5~8のコントローラーをドラッグして、タブをLFOからSteperに変更。

また、Pitch下の四角にコントローラーを割り当てた際に、横に現れる数字はピッチを動かす範囲を設定するもの。
最大1オクターブ動かしたい場合は「12」に設定、最大2オクターブ動かしたい場合は「24」に設定する。

コントローラー部分の16のブロックがステップシーケンスと同じ役割を果たすので、各ブロックのバーを変更したいピッチに設定していく。
ちなみに、Altキーを押しながらドラッグすることで整数単位での移動が可能になる。

この他にも、Reverb(リバーブ)やDelay(ディレイ)等、音作りによく使われるエフェクトはあるのだが、それらは今後掲載予定の「初心者のためのエフェクト講座」の方で説明をしていくことにする。

まとめ

さて、3回に分けてアナログシンセサイザーの構造と代表的なパラメータを紹介してきたが、各セクションごとに見ていけば仕組みは意外と単純ということがわかったのではないだろうか?
しかし、仕組みは単純でもシンセサイザーを極めるのはかなり難しい。
この単純な仕組みの楽器からは数万、数十万通りの音色が生み出される。
うかつに首を突っ込みすぎると大火傷することもあることも覚えておいてほしい。
ただ、これくらいの知識があれば、

「ああっ!このプリセットの音をもう少しこうしたい!」

という悩みは解決出来る場合も多いはず。
それほどたくさんの機能を使いこなさなくてもちょっとした微調整が出来るようになるだけでも、DTMライフはかなり楽しくなるのではないだろうか?

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