これされ知ってりゃなんとかなる!プリセット派ユーザーのためのシンセサイザー講座【第2回】

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さて、前回までにシンセサイザーの構造は、大きく「VCO」、「VCF」、「VCA」の3つのセクションに分けられることを説明したが、ここからはそれぞれのセクションの主要なパラメーターを紹介していく。
説明するにあたって最初に覚えておいてほしいのが、同じパラメータでもブランドやモデルによって表記の仕方や呼び方が様々であるということだ。
例えば、波形を選択する「Wave」というパラメータは、「Wave」という表記ではなく波形の図が記載されていたり、表記が全くなかったりもする場合も多い
しかし、おおよそ似た意味の英単語や波形図、略された英字だったりするので、お手元のシンセサイザーのインターフェース上を探してみてほしい。

VCO

VCOには、音の元となる波形を発振するオシレータ(OSC)と呼ばれる装置が搭載されている。
OSC1、OSC2というように複数のオシレータを搭載している場合が多く、その場合は鍵盤を押したとき複数の波形が同時に発振されることになる。

Moise Makerの場合、基本的なオシレータが2基、サブオシレータが1基、合計3基のオシレータを搭載している。
※サブオシレータ・・・ライン保持等の目的で補助的に使用されるオシレータ。


noise makerのVCO。2基のオシレータと1基のSubオシレータを搭載。
Subオシレータの波形は固定で音量のみの調整が可能。

Massiveの場合は、基本的なオシレータが3基、モジュレーション用のオシレータが1基、ノイズ用のオシレータが1基、合計5基搭載されており、基本的なオシレータ3基については、各基が2種類の波形を発振するというちょっと変わった仕組みである。


MassiveのVCO。3基のオシレータの他に、モジュレーション用、ノイズ用のオシレータを1基ずつ装備。

Noise Makerの場合はMastarセクションの各OSCの音量を調整することでON/OFFを切り替える仕組み。

Massiveの場合は、各OSCの左上の青いランプアイコンをクリックすることでON/OFFを切り替えることが出来る。

基本的には複数の波形を使用したほうが音が太くなる傾向になるため、
「もう少し音色を太くしたい!」
という場合は、同じ波形や異なった波形のOSCを追加することで解決できる場合も多い。

1つの波形のみの場合

2つの異なる波形を使用したサウンド

また、メインとなるOSCのオクターブ上、または下のピッチの波形を足すことで音に厚みを出すという手法もよく使われる。

ノコギリ波のオクターブ

さらに、2つの同じ種類の波形の音程を微妙にずらして音に広がりを出すDetuneという手法もトランスやEDMなどでは多用されている。
※詳細の方法については後述。


2つのOSCの音程を微妙にずらす。

同じ音程のノコギリ波を2つ重ねたサウンド

2つの波形の音程を微妙にずらしたサウンド(Detune)

次に、VCOにはどんなパラメータがあるのかを見ていく。

WAVE

音の元になる波形を選択するパラメータ。
音色の土台となる言わば原材料のような部分のなので、この波形を変更するだけで劇的に音色が変化する。


Noise MakerにはWAVE等の文字表記は無い。画面赤枠をクリックすると波形が選択出来るという仕組み。

大抵のシンセサイザーには約3~5種類の波形が用意されているが、中にはMassiveのように数十種類の波形が用意されていたりするモデルも存在する。


massiveの波形選択画面。同じくWAVE等の文字表記は無く、一つのプリセットに2つの波形が使われている少し特殊なタイプ。Wt positionで2つの波形のバランスを調整する。
一つの波形のみを使用したい場合は、左右どちらか一方にノブを振り切る。

様々な波形が用意されているので、いろんな波形に変更して遊んでみてほしい。
それだけで音色をかなり変化させることが出来る。
また、以下に大抵のシンセサイザーに搭載されている基本的な波形の形とサンプルを用意したので聴いてみてほしい。

サイン波(Sine)

倍音成分を一切含まない波形。リードやサブOSC等様々な用途で使われる。

ノコギリ波(Saw)

倍音を大量に含む波形。EDM、トランス等に多用される波形。

三角波(Triangle)

サイン波に似た音色だが、倍音成分を微量に含む。

矩形波(Square)

いわゆるファミコンサウンド。

ノイズ(Noise)

名前のとおり雑音。効果音等によく使われる。

中には、
「あっ!あの曲はこの波形を使ってるわけだな!?」
というものもあったのではないだろうか?
基本的にはこれらの波形を単独、または組み合わせて音色を構成していくことになる。
え?これだけしか波形の種類がないの?と思うユーザーもいるかもしれないが、組み合わせやバランスを調整することで様々な音色を生み出すことが出来る。
簡単そうに見えるが極めるのはなかなか難しい。

AMP(Level、Vol)

発振する波形の音量を決めるパラメータ。
最終的に音色の音量を決定するVCAとは目的が異なり、ここでは各OSCの音量(バランス)を調整するために使用する。


Noise Makerの場合、AmpはVCOセクションの隣のMasterセクションに搭載されている。

Massiveの場合は、各OSCにAmpパラメータが搭載されている。

OSCを複数使用して音色を構成する場合は、このパラメータで各OSCのバランスを決定するわけだ。

PITCH(TUNE、RANGE、OCTAVE、FINE)

発信する波形のピッチ(音程)を調整するパラメータ。
「PITCH」や「TUNE」と表記されていることが多い。
「FINE」というパラメータはピッチを半音以下の単位で微調整する場合に使用する。
また、「RANGE」や「OCTAVE」などのパラメータがある場合は、ツマミを一段階動かすだけで1オクターブのピッチ調整が出来る。


Noise Makerの場合、TUNEとFINEというパラメータが確認できる。

Massiveの場合は、PITCHを数値で調整するタイプ。整数部分が半音単位、少数部分が半音以下の調整となる。

先ほど紹介した「Detune」という手法は、このパラメータを調整することでピッチを微妙にずらすわけだ。
ピッチの差を大きくしていけば広がりは大きくなっていくが、あまりやりすぎるとただの不協和音になってしまうので注意が必要である。

VCF

次にVCFのパラメータを見ていく。
VCFはVCOから発振された波形を加工する(削る)セクション。
波形を削ることで、音の明暗を調整できる。
具体的には「どんな方法」で「どこを削るのか」を設定してやることになる。

Filter(フィルタ)

波形を「どんな方法」で削るか選択するパラメータ。
有名どころでは以下のようなものがある。

Low-pass

設定した周波数以上の倍音成分を削るフィルタ。


Noise Makerのノコギリ派の周波数成分。

たとえば、上のような周波数成分の波形にLow-passフィルタを通すと以下の図のようになる。


設定した周波数以上の音をカット。

ものすごく簡単に言えば、波形に含まれる高音部分をカットするフィルタ。
低音部分が残る。

フィルター無し

Low-pass ON

High-pass

設定した周波数以下の倍音成分を削るフィルタ。
先ほどの波形に通すと以下の図のようになる。


設定した周波数以下の音をカット。

ものすごく簡単に言えば、波形に含まれる低音部分をカットするフィルタ。
低音部分が残る。

フィルター無し

High-pass ON

感の良いユーザーは気が付いたかもしれないが、Filterはイコライザー(EQ)というエフェクターと原理は同じである。

Cutoff(カットオフ)

波形の「どこを削るのか」を設定するパラメータ。
倍音成分を削る基点となる周波数を決定するパラメータである。
例えばLow-passフィルターの場合、このCutoffで設定した周波数以上の倍音をカットするということになる。


Cutoffの値よりも高い周波数帯域の倍音をカット。

Cutoffの値を小さくした場合はより多くの倍音をカットすることになる。

Cutoffの値をMaxにすると、全くフィルターを掛けない状態と同じになる。これがいわゆる「フィルター開きっぱなし」という状態。

Resonance(レゾナンス)

Cutoffで決定した周波数付近をブーストさせるパラメータ。
音色のクセ付けに使用する。


レゾナンスの値を大きくするとフィルターはこのような状態になる。

レゾナンス OFF

レゾナンス ON

VCA

Master

音色の最終的な音量を決定するパラメータ。
Master、Output、Vol等いろいろな呼び方がある。

えー!VCAってただ音量を変えるだけ!?と思ったユーザーもいると思うがそれだけではない。
例えば、ドラム等の打楽器は「パン!」と最大音量で音が鳴った後すぐに小さくなる。
また、ピアノの鍵盤を押し続けた場合は、最大音量で音が鳴った後ゆっくりと音量は減衰していく。
ストリングスなどの楽器は、音の鳴り始めから最大音量で音が鳴るわけではなく少し時間を置いて最大音量にたどり着く。
このように、音色の音量には「時間的な変化」という概念が存在する。
この時間的な変化を設定するパラメータがEG(エンベロープジェネレータ)というものである。

EG(エンベロープジェネレータ)

音量に時間的変化を加えるパラメーター。
時間軸上での各ポジションの頭文字をとってADSRとも呼ばれる。


Noise makerのEG。

MassiveのEG。デフォルトでは、Envの4番がVCAに設定されている。

ADSR はAttack(アタック)、Decay(ディケイ)、Sustain(サスティン)、Release(リリース)の頭文字で、時間軸を横に置いたときの各ポジションは以下の図のようになる。


A・D・S・Rそれぞれが時間軸のどこにあたるのかを把握するのが重要。

このADSRの概念は、様々なタイプのシンセサイザーやエフェクター等でも頻繁に使われるパラメータなので、ぜひ習得してしまいたい。
覚えておくとかなり役に立つ。

Attack

鍵盤を押してから最大音量に到達するまでの時間。
音の立ち上がりの速度を調整するパラメータ。
値を0にすると鍵盤を押すと同時に最大音量で音が鳴る。
値を大きくすると鍵盤を押してから最大音量になるまでの時間が長くなる。

Attack 0

Attack 遅め

Decay

Attackで到達した最大音量から、Sustainで設定した音量に移行するまでの時間を設定するパラメータ。
Decayを0に設定するとAttackの後、すぐにSustainで設定した音量に移る。

Sustain

Decayの後、鍵盤を押し続けている間の音量を設定するパラメータ。
他のパラメータが時間をコントロールするのに対して、このSustainだけは音量を調整するパラメータである点に注意してほしい。
値を0にすると鍵盤を押し続けていても音が止まる。
値を大きくすると、鍵盤を押し続けている間も設定した音量で音が鳴り続ける。

Sustain 最大

Sustain 最大値の約半分

Sustain 0

Release

鍵盤を放した後に音が鳴り終わるまでの時間。
音の余韻を調整するパラメータ。
値を0にすると、鍵盤を離すと同時に音が止まるようになる。
値を大きくすると、鍵盤を離した後、設定した時間をかけて音が鳴り止む。

Release 0

Release 遅め

Noise Makerの場合は、Masterセクションの下にAmp用のEGが搭載されているので、A・D・S・Rそれぞれのフェーダーを調整して値を変更する。
また、Massiveの場合はちょっと特殊で、SustainのパラメータはDecayの隣の「level」というパラメータになっている。
さらに、Attackの隣のlevelは音量の最大値を調整するパラメータである。
Attackの時間をかけてlevelの値まで音量が上昇するというわけだ。


SustainはDecayの隣のlevelというパラメータ。

シンセサイザーのSustainは一般的に使われるサスティンとは意味合いが少し違う点も注意してほしい。
ピアノ等で一般的に使われるサスティンはシンセサイザーではReleaseに該当する。
また、このEG(ADSRというパラメータ)はVCAだけでなくVCOのピッチやVCFのパラメータに時間的な変化を与えたい場合にも使用することもある。
これについては次回紹介する。

どうだろう?
ここまでにアナログシンセサイザーでの音作りのメインとなるVCO、VCF、VCAの役割と各セクションの代表的なパラメータを紹介させてもらったが、意外と簡単だと感じたのではないだろうか?
この3つのセクションをいじれるようになるだけでも「ここをもう少しこうしたい!」というニーズには意外と対応できたりするので、是非覚えてしまうことをオススメする。
次回は、その他のよく使うセクションとそのパラメーターを紹介する。

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