超初心者のためのミキシング講座/リバーブ編③【リバーブのパラメータ】

どもども。

今回はリバーブに搭載されているパラメータについてうんちくろうと思う。
できれば前回の記事を読んで、『プリディレイ』、『残響時間』、『初期反射音』、『後部残響音』という単語の意味を理解しておくことをオススメする。

リバーブのパラメータ

リバーブというエフェクトは、ブランドやモデルによってパラメータの呼称や操作方法にかなり違いがある。
ここでは例としてWaves Renaissance Reverbの画像を使って各パラメータの紹介をさせてもらうが、呼称に関してはホントいろいろなので、各自自分の使うリバーブのマニュアル等を見てもらったほうがいいと思う。
とにかく、どんなリバーブを使うとしても、

一番最初に耳に届く反射音の音量
プリディレイ
残響時間

この3つをコントロールするパラメータがどこになるのかを抑えることが重要。
この3つさえ抑えておけば、大抵の場合何とかなる(笑)
もしも初期反射音と後部残響音を別々にコントロールするのであれば、

初期反射音の音量
後部残響音の音量
初期反射音が耳に届くまでの時間
後部残響音が耳に届くまでの時間
残響時間

この5つをコントロールするパラメータがどこになるのかを抑えておかなければならないが、初心者の場合、初期反射音と後部残響音のバランスはあまりイジらないことをオススメする。
下手にイジるとどんどん迷宮入りするので、ここは各ブランドが作り上げた素晴らしいアルゴリズムとプリセットにお任せしたほうがいいと思う。
ちなみに、後述の『センド/リターン』という方法でリバーブを使用する場合は、反射音(初期反射音、後部残響音)の音量はDAW側のSend量もしくはBusチャンネルのレベルフェーダーでコントロールすることになるので、原音の音量を0にするためのパラメータがどこにあるかを抑えておけばOK。

では早速。

①Reverb Type(Type、Room Type等)

表現したい空間の種類(アルゴリズム)を決めるパラメータ。
Room、Studio、Hallなどが用意されており、自分の表現したい空間に近いものを選択できるようになっている。
また、いわゆるアナログリバーブを再現するためにChamber、Plate、Springなども用意されている場合が多い。

②Size(Room Size等)

空間の大きさを調整するパラメータ。
前述のReverb typeで決めた空間のサイズをより細かく設定することができる。
また、このパラメータと初期反射音や後部残響音が耳に届くまでの時間がリンクしているモデルもある。
今回例として挙げたRenaissance Reverbもこの類。

③PreDelay

直接音が聴こえてから初期反射音が聴こえるまでの時間を設定するパラメータ。
前回登場した『プリディレイ』をコントロールするのがこのパラメータ
ちなみに、機種によっては直接音が聴こえてから『後部残響音』が聴こえるまでの時間を設定する仕様のものもあるので注意。
今回例として挙げたRenaissance Reverbもこの類。

④Time(Reverb Time、Decay、Damp等)

残響が発生している時間を設定するパラメータ。
前回登場した『残響時間』をコントロールするのがこのパラメータ

⑤Mix(Dry/Wet)

ドライ音(原音)とウェット音(残響)をどのくらいの割合で出力するかを設定するパラメータ。
後述の『インサート』でリバーブを使用する場合は、こいつで原音と残響(初期反射音と後部残響)の音量差をコントロールすることができる。
『センド/リターン』でリバーブを使用する場合はWet100%(残響音のみを出力)に設定し、Send量もしくはDAWのBusチャンネルのレベルフェーダーで原音との音量差をコントロールすることになる。

こんなところだろうか?
また、初期反射音と後部残響音を別々にコントロールするタイプのリバーブの場合は以下のようなパラメータがある場合が多い。

⑥Early Reflection(Erely、ER等)

初期反射音の出力レベルをコントロールするためのパラメータ。

⑦Reverb(Late Rverbration等)

後部残響音の出力レベルをコントロールするパラメータ。

Early Reflection Time(Erely Time等)

直接音が聴こえてから『初期反射音』が聴こえるまでの時間を設定するパラメータ。

Late Rverbration Time(Late Reverb Time等)

直接音が聴こえてから『後部残響音』が聴こえるまでの時間を設定するパラメータ。

他にも、DIFFUSION(STEREO WIDTH)やEQ類(LP FILTER、HP FILTER)などが搭載されている機種も多いが、このあたりは実践編で紹介していこうと思う。
ちなみに・・・
WavesのTrueVerbなどには、リスナーから音源までの距離をコントロールする『distance』というパラメータがあり、リンク機能(中央のカーソルアイコンをON)を使えば『distance』と『Room Size』、すなわち『空間の大きさ』と『音源までの距離』を指定してやれば、プリディレイや残響時間などを最適な値に自動で調整してくれるというなんともありがたい機能が付いている。

そう、ぶっちゃけこういう機能があるリバーブが手元にある場合、前回までのお勉強は必要・・・ない(オイ)
まあ全てのリバーブにこんな機能があるわけじゃないので、知識はあったほうがいいとは思うが、めんどくさがりの人は試してみるといいかもしれない。

インサートとセンド・リターン

さて、本来であればミキシング講座の初期に紹介するべきだったのだが、エフェクトの挿し方にはインサートとセンド・リターンという2つの方法がある。

インサート

原音に直接エフェクトの効果をかける

センド・リターン

原音の出力を分岐させ、分岐させた出力にエフェクトの効果をかける

ディストーションなどの歪み系、EQやコンプなどはインサートで使うのが王道。
対してリバーブやディレイなどのように、原音に何か(リバーブの場合は残響)を付け足すといった場合はセンド・リターンで使うのが王道となっている。
要は、原音を直接加工したい場合はインサート、原音と加工音の両方を出力したい場合はセンド・リターンで使うといった感じ。
まあ前述のとおり、ほとんどのリバーブにはMix(Dry/Wet)というパラメータがあるので、インサートで使用しても原音とウェット音(残響)の両方を出力することはできる。
しかし、ミキシングではほぼ全てのトラックの残響をリバーブでコントロールする必要があるので、リバーブをインサートで使うとなるとトラックの数だげリバーブを立ち上げて、その全てにおいてパラメータの設定をしなければいけないということになる。
IRリバーブでこれをやるとCPUの負荷がものすごいことになってしまう。

「だったらBusでまとめてBusトラックにリバーブかけりゃいいじゃねーか。」

「マスターチャンネルに挿せばよくね?」

と思った人もいるだろうし、実際にやってる人もいるだろう。
しかし、この方法にはひとつ弱点がある。
残響音のみをコントロールすることができないのだ。
ミキシングをやっていると、残響音だけ左右に広げたい、センターに寄せたい、左右どちらかに寄せたい、EQで低域をカットしたい、高域をカットしたいといった場面に出くわす。
こんな時、上記の方法では対応ができないのだ。
最近ではステレオ感を調整するパラメータやEQを搭載しているリバーブもかなり多いが、好きな機種にそれらが搭載されているという保証はどこにもない。
使いなれたエフェクトで処理ができるのはやっぱり楽だし、原音との音量調整もチャンネルフェーダーで行える。
絶対にインサートで使ってはダメということではないがメリットも多いので、リバーブを使う場合は基本的にセンド・リターンで使うことをオススメする。

Chanomaオススメのミキシングアイテム

Universal Audio APOLLO TWIN

Universal Audioは1176や610などの名機と呼ばれるアウトボードを生み出しているアメリカの老舗プロフェッショナルオーディオ機器ブランド。 Apollo Twin は同社のハイクオリティDSPプラグイン「UAD-2」が利用できるDSPチップを搭載したコンパクトオーディオインターフェース。 「往年のアナログ機器のサウンドをプラグインで再現」というコンセプトのもとに開発されるUAD-2は、NEVE 1073、610、APIやSSL、1176、LA-2A、Pultec EQなど数々の名機をプラグイン化しており、その技術は世界中で非常に高い評価を得ている。 プロの定番プラグインであるWavesを始め、様々なブランドが名機のエミュレートプラグインをリリースしているが、ビンテージ機材のエミュレーション技術においては間違いなくUniversal Audioが群を抜いている。 最近ではMarshallやFender、Ampegのアンプシミュレーターなどもリリースしており、ギタリストやベーシストにもオススメ。 手にしたその日からワンランク上のレコーディング、ミキシング環境が手に入る。

Waves Plugin

プラグインエフェクトと言えば「Waves」。 多くのプロも使用しているハイクオリティエフェクト。 ありきたりな選択肢だが、やはり良いものは良い。 余計な音質の変化はないし、余計な味つけもされないし、エフェクトのかかり具合も良く、使い勝手も良く、狙った効果がきちんと得られる。 CPU負荷も比較的軽めなうえ、動作も安定しているので安心して使用できる点もGood。 一昔前に比べてかなり安く手に入るようになってきているので、コスパ面でもオススメ出来る。 Silver、Gold、Platinumをはじめ多数のバンドルがラインナップされており、目的やレベルに応じて様々な選択肢をチョイスできるのも嬉しい。

audio-technica ATH-M70x

海外で人気のMシリーズのフラッグシップモデル。 決して周波数特性がフラットという機種ではないが、こいつの中高域の情報量は驚異的。 空間表現能力も驚異的でゴチャゴチャしている部分が丸見え。 他のヘッドホンで聴こえなかった音が面白いくらい見つかる。 くっついてしまったり、隠れてしまっている音もこいつなら一つ一つしっかりと確認できる。 但し、中高域が耳に張り付いてくるタイプなので、低域のモニタリングは慣れが必要? 「低域もある程度見える超高解像度版900ST」といった感じ。

YAMAHA MSP5 STUDIO

銘機「NS10M STUDIO」を開発したチームによるニアフィールドモニター「MSP STUDIO」シリーズの一番小さいサイズ。 フラットさに定評があり、モニタスピーカーとして各方面での評価も高い。 音質も非常にクリアで音像や定位もしっかりと捉えることができる。 とにかく飾り気のない素直な出音が特徴。 コスパはかなり高い。