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超初心者のためのミキシング講座 / イコライザー編⑪ 【ドラム&ベース&ギターを重ねた時のEQ処理のポイント】

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キックが聴こえにくくなったと感じたとき

キックが聴こえにくくなる要因は、主にベースやギター、スネアの成分とのカブり。
理論上、これらのカブりを取り除いてやればキックは聴こえるようになってくる。
取り除くと言ってもゴッソリ取り除くわけではなく、各ソースがバランスよく聴こえるように微調整をしてやるといった感じ。
具体的には、カブリが少なくなるようにピーキングで各帯域の出し引きをしてやるという方法になる。

ということで、まずはベース、ギター、スネアの「スッキリポイント」を探してみる。
「スッキリポイント」とは筆者が勝手に命名させてもらったポイントのことで、カットすることで相手がやたらとスッキリ聴こえるようになるポイントのこと。
つまり、ベースとギター、スネアにEQを挿して、カットするとキックがスッキリと聴こえるようになるポイントを探してやるわけだ。
スッキリポイントの詳しい探し方は前回の記事を参考にしてほしい。
筆者の場合、1つのソースにつきスッキリポイントは複数(2~4)探す。
それら全てをカットするとは限らないが、スッキリポイントは場所によってはそのソースの削りたくない場所だったりすることも多いので、複数の候補を探しておいた方がいい。
あとは、それぞれのポイントをどのくらいのQでどのくらいカットするか。
スッキリポイントがわかりにくい場合は、まずベースとギター、スネアをBusでまとめてそこにEQを挿して探してみるといい。
そのまま各ソースにEQの設定をコピペというわけにはいかないが、どの帯域の成分がキックを聴こえにくくしているのかを把握することが出来る。

ではでは、実際にやってみる。
まずはベースから。
ベースのスッキリポイントは、今回の例では以下の場所だと筆者は感じた。

~60Hz
140Hz
250Hz
500Hz
2.9kHz

あとは、それぞれをどのくらいのQでどのくらいカットするか。
今回は以下のようにカットしてみた。

kickga-bass

60Hzあたりをカットしてやるとキックの「ドウンッ!」っという圧力が相対的にハッキリしてくる。
今回の例では前述の処理でこの帯域はカット済み。
キックの上にベースを配置する場合は、結構多めにカットしてもいいと思う。
140Hz付近はカットするとベラボーにキックが聴こえるようになるが、ベースの大事な低音部分。
ということで控えめにカット。
250Hz付近はベースの音色のメインとなってる帯域なのでカットせず。
500kHz付近は無くてもいいなと感じたので多めにカット。
2.9Hzはキックのアタックを構成している部分。
ここも3dBほどカット。

この時各ソースの上下の位置関係を崩さないようにということも意識して処理してやると、より上下の配置を明確にしていくことが出来る。
例えば、キックの最低域を40Hzに設定したなら40Hz以下にはベースのピークを作らない、キックに140Hzあたりを譲ったのであればベースに譲るスペースは140Hz以降に作ってやるといった感じ。

次にギター。
捜索したスッキリポイントは以下のとおり。

~120Hz
250Hz
500Hz
1.0kHz
3.8kHz

今回は以下のように処理。

kick-gt

~120Hz以下はハイパスでカット。
低域部分のカブりが低減して、結果キックが聴こえやすくなる。
250Hz付近は、カットすると音色の変化が大きいのでカットせず。
500Hz付近は大きくカットすると鳴りと太さが乏しくなるので程よくカット。
1.0Hz付近も芯がなくならない程度にカット。
3.8Hz付近も派手さが無くならない程度にカット。

次にスネア。
捜索したスッキリポイントは以下のとおり。

~120Hz
140Hz
300Hz
1kHz

今回は以下のように処理。

kick-snare

〜120Hz以下はハイパスでカット。
低域の余韻成分が低減してキックが聴こえやすくなる。
140Hz付近は重みが欠けてしまうがバランスを優先して3dBほどカット。
300Hz、1kHzあたりも鳴りが欠けすぎない程度にカット。

では、ここまで処理したものを一旦聴いてみる。

どうだろう?
キックの上に重なっていた音が少なくなったのがわかるだろうか?
注意点としては、決して無理はしないということ。
カットすることでキックは聴こえるようになったが、カットしたソースの音がチンケになってしまっては本末転倒。
「これ以上カットするとこのソースの音自体が目標から離れていく・・・」と思った場合は、無理にカットせずにブーストで仕上げていくことを考えていったほうがいい。

ということで仕上げは「ハッキリポイント」。
「ハッキリポイント」とは、スッキリポイントと同じく筆者が勝手に命名させてもらったポイントのことで、ブーストすることで己がやたらとハッキリ聴こえるようになるポイントのこと。
キック自身をブーストして、よりハッキリと聴こえるようになるポイントを効果的にブーストしてやる。
これについても1つのソースにつき3つほど候補を探す。
あとは、それぞれのポイントをどのくらいのQでどのくらいブーストするか。
今回は以下のようにブーストしてみた。

kick-kick

ボトムを支える85Hz付近をブースト。
さらにアタック音とビーター音にあたる2.8Hzと5.5kHzあたりをブーストしてギターに隠れ気味になっているアタック感を強調した。

聴いてみる。

ここまでくるとかなりキックが聴きやすくなったのがわかると思う。

ベースが聴こえにくくなったと感じたとき

ベースが聴こえにくくなる要因は、主にキックやギター、スネアとのカブり。
特にキックは同じ低域メインのソースなので、おのずとぶつかり合ってダンゴ状態になることが多い。
ということで、同じくピーキングで各ソースのスッキリポイントを探してみる。
まずはキック。
今回の例では以下の2箇所をスッキリポイントに認定。

〜60Hz
180Hz
1.5Hz

以下のようにカットしてみた。

bass-kick

〜60以下の帯域はキック、ベース共に音の圧力を感じる帯域。
この帯域をカットしてやるとベースの圧力が出てくるが、今回はキックを一番下に配置するのでカットせず。
180Hz付近はベースに譲るため程よくカット。
キックのメインでもあるので削りすぎには注意。
1.5kHzはベースのライン成分なのでカットしたいところだが、削るとヘッドの鳴りが乏しくなるのでカットせず。

お次はギター。
今回の例では以下の3箇所をスッキリポイントに認定。

〜120Hz
180Hz
450Hz
2.0Hz

以下のようにカットしてみた。

bass-gt

〜120Hzはハイパスでカット済み。
低域部分のカブりが低減して、結果ベースが聴こえやすくなる。
180Hz付近はベースに譲るため多めにカット。
450Hz付近はカットするとギター自体もスッキリするので、近くにあるキックのスッキリポイントである500Hzとまとめて程よくカット。
2.0kHzあたりも派手さが無くならない程度にカット。

同じ要領でスネア。
今回の例では以下の1箇所をスッキリポイントに認定。

〜120Hz
180Hz
400Hz
1.5kHz

スネアは以下のように処理。

bass-snare

〜120Hz以下はハイパスでカット済み。
低域部分のカブりが低減して、結果ベースが聴こえやすくなる。
180Hz付近はベースに譲るため多めにカット。
400Hz付近は音色の変化が激しいためカットせず。
1.5kHz付近はベースの芯、ラインとぶつかるので多めにカット。

最後にハッキリポイント。
今回は以下のようにブーストしてみた。

bass-bass

ベースのメインになった180Hz付近をブーストして位置を明確に。
芯、ラインを構成する1.5kHzあたりを適度にブーストして抜けを改善。

聴いてみる。

メインどころをキックとギターの間に上手に挟んでやる感じ。
ラインの部分とアタックのカリカリ成分をブーストすると手っ取り早く目立たせることが出来るが、ここに頼りすぎると上下の位置関係が崩れたり、固い印象になっていくので注意。
あくまで低域をメインとして住み分けをしてやったあとで、必要に応じてラインとカリカリ成分を付与していったほうがいいと思う。
思いっきりベースをカリカリに仕上げたい場合は、キックとギターの2~6kHzあたりをカットして穴をあけてやるといい。
ギターが重めになるが、ベースをカリカリにする場合・・・・・大抵ギターが重めの方がしっくりくる曲が多い(笑)

スネアが聴こえにくくなったと感じたとき

ドラム単体だとバシンッと決まっていたスネアも、ギターを重ねる頃になるとオケに埋もれて聴こえにくくなっていることが多い。
土台の成分はキックやベース、ギターの低域に埋もれて、アタックやスナッピーもギターや金物打楽器にかき消されてしまいがち。
ということで、この辺りの成分の居場所をしっかりと確保してやればしっかりと聴こえるようになってくる。

同じくピーキングでそれぞれのスッキリポイントを探してみる。
まずはキック。

700Hz

キックの音が直接邪魔になっているというよりは「余韻」の部分がスネアに掛かっているという感じ。
700Hz付近にあるキックの余韻をカットするとスネアとのカブりが低減する。
ということで以下のように処理。

snare-kick

次にベース。
ベースのスッキリポイントは以下のとおり。

150Hz

ここをカットするとスネアの低域が出てくるが、これ以上削るとベースが聴こえにくくなっていくのでカットせず。

同じ要領でギター。
スッキリポイントは以下の2箇所に認定。

700Hz
2.5kHz

700Hz、2.5kHz共にカットするとスネアの聴こえがハッキリするが、これ以上削るとギターの音色が崩壊していくのでカットせず。

最後にハッキリポイント。
今回は以下のようにブーストしてみた。

snare-snare

2.5Hzあたりのアタックをブーストして抜けを改善。

聴いてみる。

ひょっこり頭が出てきたと思う。
スネアの場合、チューニングが絡んでくる点と重く仕上げるか軽く仕上げるかでもいじり方が変わってくるので、どう聴かせたいかというイメージはしっかりと持っていたほうがいい。

まとめ

今回はここまで。
最後に処理前のサンプルと処理後のサンプルを聴き比べ。

スッキリポイントとハッキリポイントは当然ソースによって場所が変わるので数値はあくまで参考程度に。
実際は自分の耳で探すしかない。
見つけられない人は、思いっきりQを広げて捜索すれば「ここか?」という場所がきっと見つかるはず。
見つけられたらQ幅とブースト/カットする量を調整して追い込んでいけばいい。
イメージとしては、それぞれの聴かせたい成分と削ってもいい成分を考えながら上下の配置と全体のパランスをとっていく感じ。
また、ひとつのソースのEQ処理をすると、当然複数のソースの聴こえ方に影響が出てくるので、ひとつの処理をしたら全体の聴こえ方の確認をするクセをつけておいたほうが良い。
知らぬ間にイジっていないソースが目立っていたり聴こえなくなっていたりなんてことが起きるので、常に全体にアンテナをはっておきたい。
その他の注意点としては、スッキリポイントをカットした後にカットしたソースをピンで聴いてみるということは極力しないこと。(気になる部分をピンポイントで取り除く場合は別。)
この段階まで来たら、ピンで聴いたときにどう聴こえるかということはあまり気にしない方がいい。
複数のソースを重ねたときにどう聴こえるかということのみに集中する。
プロのエンジニアの中には、最初から全てのソースを重ねた状態で処理をする人も多い。

次回はボーカルのEQポイントをご紹介。
その後、今回のオケにボーカルを重ねてみたいと思う。

ではでは。

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